【プロ野球】巨人が阪神に完敗…審判員のアシスト及ばず!?

 クライマックスシリーズファイナルステージも、いよいよ大詰め。パ・リーグのソフトバンクと日本ハムが2勝2敗の接戦を演じているのに対し、伝統の一戦とも称されるセ・リーグの巨人阪神戦は、阪神が3連勝中。ジャイアンツのCS突破に、黄色信号が点滅している。

「審判全員が〝ジャンパイア〟やとしても、いまの巨人には負ける気がせぇへん」そう豪語する阪神ファンもいるほど、阪神タイガースの勢いは増す一方だ。

〝ん? ジャンパイア??〟

 プロ野球ファン以外には聞き慣れないこの言葉だが、ジャンパイアとは、ジャイアンツにひいき目にジャッジするアンパイア(審判)を表す造語で、アンチ巨人も多いプロ野球ファンの間には古くから存在する言葉だ。

CSでもジャンパイアの本領発揮

 そして、前出阪神ファンがこの言葉を用いてジャイアンツをこき下ろしたのには、理由がある。16日に行われたファイナルステージ第2戦。ジャイアンツが2-5の3点ビハインドでむかえた、八回表の阪神の攻撃。二死一、二塁で、これ以上点差が開けば、逆転は絶望的ともなる場面だった。ジャイアンツの5番手投手、西村から西岡がライト戦に放った痛烈な打球は、おしくもファウル。だがじつはこれ、よーくみると、フェアグランドにいた一塁手・ロペスのミットに当たったあとに、ファウルゾーンに落ちているように見えなくもない。阪神和田監督が猛抗議を行うも、当然判定は覆らない。

 結局、阪神は無得点。その後、ジャイアンツが逆転することはできなかったが、ゲームを左右する場面でのジャンパイアのジャッジに、救われたのはいうまでもない。

シーズン中にもジャイアンツを助けるジャッジが続出

 シーズン中の伝統の一戦でも、数々のジャンパイアが登場している。そのいくつかを紹介すると、まずは8月14日(東京ドーム)。1-1と同点の二回表、阪神の攻撃は一死一、二塁で、バッター梅野のシーン。三塁手の正面に転がった梅野の打球を村田が難なくさばき、5-4-3の併殺かに思われたが、梅野は併殺を回避するべく一塁ベースを駆け抜けた。誰の目にも明らかなセーフだった。しかしこのときの一塁塁審は、ジャンパイアとして有名で、数々の〝前科〟をもつK塁審。判定は、アウト。ゲームの流れを掴む大切な序盤でのジャッジ。一塁を守る阿部慎之助も「え? アウト?」というような表情でベンチに引き上げるほどだった。

 そしてなんと言っても、今年もっとも印象に残ったジャンパイアは、7月23日の甲子園球場に現れた。2-2の同点でむかえた九回表、一死一塁。ジャイアンツの攻撃。走塁のスペシャリスト・鈴木尚広が、カウント1-1から盗塁を試みたシーンだ。キャッチャー梅野の送球は、ワンバウンドで二塁手・上本のグラブにピタリと収まる好送球。だが、このときの二塁塁審もまた、ジャンパイアの呼び声高いS塁審。判定は、セーフ。解説の掛布氏も「タイミングは完璧にアウトなんですが、鈴木選手が一番遠いところにスライディングしましたからね……」と、あたふたしてしまうほど。しかもこれでチャンスを広げたジャイアンツは、鈴木が決勝のホームを踏み3-2で勝利したのだった。

 このように、例を挙げればキリがないが、今年もチャンスとピンチの両場面で、ジャンパイアはジャイアンツに流れを引き寄せている。

 クライマックスシリーズでは、ここまでいいとこなしのジャイアンツ。ファーストステージから加速し続ける阪神の勢いを止めるには、ジャンパイアの力も必要なのかもしれない。

(取材・文/佐々木浩司)

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