[架神恭介の「よいこのサブカル論」]

「ニンジャスレイヤー」前代未聞のサントラCD実況イベントをツイッター上で開催

 トリガーによるアニメ化が決定し、今にわかに世界中の注目を集めているツイッター小説「ニンジャスレイヤー」。その新刊「キョート・ヘル・オン・アース<上>特装版」が10月14日に発売されましたが、付随して、書籍付録のサウンドトラックCDの同時再生という前代未聞のイベントが18日、ツイッター上にて行われました。……といっても、何を言ってるのか分からない人も多いと思うのでイチから説明しましょう。

サントラの同時再生&実況イベントは成功するのか?

 まずニンジャスレイヤーとは、現在ツイッター上で連載されている大人気サイバーパンクニンジャ活劇小説。ネオサイタマを舞台に妻子をニンジャに殺されたフジキド・ケンジが、ニンジャ殺戮者ニンジャスレイヤーと化して復讐の戦いに身を投じるアクション活劇です。

 原作はアメリカ人のブラッドレー・ボンド氏とフィリップ・ニンジャ・モーゼズ氏で、彼らから翻訳権を正式に取得した翻訳チーム(本兌有、杉ライカら)が日本語翻訳を適宜ツイッター上で投下するという連載スタイルを取っています。

 ツイッター上に140字ずつ5~10分感覚で小説を投下していくスタイルは、まどろっこしく感じられるかもしれませんが、その時間中はニンジャヘッズと呼ばれるファンたちが140字ごとに感想や考察のツイートを行い、専用タグ(#njslyr)は凄まじいスピードで流れていくので実際の情報量は莫大です。

 それは本編の小説更新だけに留まらず、派生である漫画版の更新(ニンジャスレイヤーの漫画は各掲載誌に掲載されるがツイッター上でも公開される)においても同様であり、さらに書籍に付随するドラマCD。これを皆で時間を決めて「せーの」で同時に再生し、リアルタイムで感想をツイートしていくという、デジタルなんだかアナログなんだか分からない、ツイッターならではのイベントが前々から行われていました。

 そして、今回はサウンドトラックCDが付録となったことで、初の試みであるサウンドトラックの同時再生&実況イベントが実施されたのです。

 とはいえ、流石にサウンドトラックの実況は盛り上がるのだろうか……感想と言ってもドラマCDのBGM……そんなにコメントすることあるのかなあ……と始まる前は不安に思っていた筆者ですが、実際は本編同様、恐ろしい速度でタグが流れる大盛況! びっくり! しかし、彼らは一体、どんな形で盛り上がりを見せていたのでしょうか?

1.ドラマCDで使われていた場面を思い出してツイート

……なんかみんなすごい。どれだけ過去のドラマCDを聴きこんでいるのか。筆者もそれぞれ五回くらいは聴いてるんですが、エーッ、全然分からないんですけど……。

2.将来のドラマ化を想像してツイート

 未ドラマ化のエピソードをBGMに重ねてイメージしている模様。彼らには様々なものが見えている。

3.ドラマCDでBGMが流れていたところの名台詞をツイート

 1の発展形。本当にどれだけ聴きこんでいるのか。

4.興奮してタイトルをツイート

 11曲目「トドメオサセ」、12曲目「ノー・ワン・バット・ニンジャ・ノウズ」再生時のもの。

5.ふつうの音楽感想もツイート

 なんのかんの言って普通の音楽感想も結構あるんです。ニンジャ本編の感想ツイートもそうなんですけど、これだけ大勢の人が140字ごとに批評をする作品って、他には聖書とかコーランくらいしかない気がします。夏目漱石だってここまで批評されてないんじゃないかな……。一曲ごとにこれだけ感想貰えたら作ってる方も嬉しいでしょうね。

 そして、作中におけるアイドルユニット「ネコネコカワイイ」のヒット曲「ほとんど違法行為」に差し掛かると、タグの流れも一気にヒートアップ。ほとんど読めない速さでツイートが流れていきます。

 アイドルってホントにすごいな! 小説中のアイドルであっても、アイドルの出番になると現実が盛り上がるんだ……。

 なお、ネコネコカワイイの劇中曲はYoutubeで視聴できます(『カタナ・ソード・アンド・オイラン・ソーサリー』【HD対応】)。一見すると普通のアニメ調CGですが、並び立つスモトリ、奈落から迫り上がるタコマシンなどから異様な雰囲気を感じ取って欲しい。

 実際のところ、ヘッズたちも成り立つのかどうか開始前は心配していたようです。しかし、サントラCDの同時再生&実況という異様な催しながらも、驚きの盛り上がりを見せました。きみたち、本当になんでも思い切り盛り上がれるな! すごいな!

 来週、10月25日(土曜日)の21時からもドラマCD、ならびにサントラCDの同時再生イベントは行われる模様。なお、CDは最新刊「キョート・ヘル・オン・アース(上)特装版」に付録として付いてきます。書籍を手に入れCDをセットし、「せーの」で一斉に再生ボタンを押そう!

参照サイト/Twitter@NJSLYR

著者プロフィール

作家

架神恭介

広島県出身。早稲田大学第一文学部卒業。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で第3回講談社BOX新人賞を受賞し、小説家デビュー。漫画原作や動画制作、パンクロックなど多岐に活動。近著に『仁義なきキリスト教史』(筑摩書房)

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