安倍政権「地方創生」で注目、農家を救う切り札とは

 大型台風に荒れた今年の日本だが、薄手のコートをまとう人たちの姿も目立ち始めた。居酒屋のおススメメニューは鍋主体となり、コンビエンスストアに入れば、おでんを注文する人の姿が増えてきた。食欲の秋の到来だ。

 しかし、新米の季節でもあるこの時期に、全国の米農家が悲鳴をあげている。

 食生活の変化から2011年には1世帯当たりのパンの購入額が精米を上回ったが(総務省の家計調査)、以前として消費者のコメ離れは止まらない。米の消費量がピークだった1962年には一人当たり年間約118キロ消費していたが、いまでは60キロを割っている。半世紀で米の消費量は半分以下になっているのだ。

 こうした状況から、「米余り」は農家にとって、とても頭の痛い問題になっている。米価は最低水準をにあり、国内有数のコメところも例外ではない。秋田県のあきたこまち(一俵)の今年の概算金(農協が契約先の農家に対して支払うコメの仮払金)は8500円。昨年から一気に3000円値下がりしている。安倍政権は「地方創生」を喧伝するが、TPPの議論も参加になり、農家は安穏とはしていられない。

 そんななか、変わった方法でお米を消費者に届ける動きもある。「あきたこまち」の卸売販売を行うおおもりでは、「ライスカード」なる商品を手掛けている。その名の通り、お米を使ったカードだ。専務取締役の大森光信さんはこう話す。

「コメ余りの現状を何とかしようと昨年からスタートしました。ライスカードには、あきたこまちが1合入っています。おいしいお米を、少しでも多くの方に届けたいと思っています」

 当の大森さんは、自らの名刺まで、ライスカードに(写真参照)。ほかに、どような使用方法があるのだろうか?

「イベント告知などの企業様のノベルティとしてご利用いただくほか、結婚式や出産内祝いなどにご利用いただいております」

 このままコメの値下げが続けば、米農家も少なくなってくるだろう。消費者である我々にしてみれば「値下がり」は嬉しいことではあるが、外国から安いコメが入ってく量になると、いよいよ日本のコメが食べられなくなるかもしれない。

 一風変わったノベルティや粗品を探している人には、ライスカードが面白く見えるかもしれない。我々が、簡単にできる地方創生でもある。コメの名刺だけは、もらったほうが困るとは思うけれど……。

関連リンク/株式会社おおもり

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