[山本太郎の政界デッドボール放談]

山本太郎が提言「原発、貧困、TPP…すべては繋がっている」

 反原発を掲げ、参院選で見事当選。世の中をざわつかせた山本太郎議員が国会議員になって1年が経過した。自他共に認める〝異端議員〟の目に、日本の政治の現場はどう映っているのか――DMMニュース編集部では直撃取材を敢行、思う存分に語ってもらった。

 * * * 

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる電力の買い取り制度の見直しが話題になっています。再生可能エネルギーの普及を目指してできた制度で、個人や事業者が再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取ってくれる仕組みです。法律では、電力会社は買い取り契約を締結したら、事前に定められた期間については責任を持って電気を買い取る義務があるんです。

 ただし、電気の買い取りをどれだけ受け付けるかは、電力会社の裁量に任されている。

 そんな中で、ここにきて電力会社側が、「安定供給に支障が出るおそれがある」として買い取りを制限すると言い出したんです。経済産業省も、制度の見直しに向けた検討を始めていますが、ふざけた話ですよね。

「原発が最も低コスト」は大嘘

 なんで、こんなことが起きるのか。嘘がバレるからですよ。

 ガス火力など現在主力の発電方法に加えて、再生可能エネルギーが普及して多くの新規事業者が参入し、電力会社が自由競争に突入したら、どうなると思います? 価格競争になれば、原発事業はたちまち赤字になりますよ。

 イギリスで出た試算では、新設の原発だったら、電気料金は、ほかの発電方式に比べて2倍の料金に跳ね上がるんです。わざわざ危険な原発で作った2倍も高い電気料金を払いますか?

 だから、この赤字を政府がカバーしてもらいます、という案を今、経済産業省が出してるんです。「カバーする」ってその資金はどうすんの? 皆さんの税金や電気料金でカバーするしか無いって話ですよ。

 これまでメディアや政治は、「原発が一番コストが安い」と言い続けてきました。

 でも、嘘が完全にバレてるんですよ。原発を作って発電しようと思ったら、計画の段階から商業用発電が始まるまでのリードタイム、どの発電方式に比べても一番長いのが原発ですから。

 それだけじゃなく原発施設というデカい箱物も作らなきゃいけない。

 初期投資だけでもムチャクチャ、コストがかかるそうです。あ、それに原発を作る地元にもカネをばらまかなきゃいけない。もちろん、核のゴミの問題もありますよね。

 核のゴミ、放射能レベルが十分低くなるまでには10万年、っていわれてますけど、そんなもんじゃありませんよ。100万年ですよ。

 僕、2013年の春にドイツへ行ってきました。2022年末までに17基ある全ての原発の稼働を止めると決めた国です。そこでは核のゴミの議論が始まっていて、廃炉などを担当する省庁の役人に「核のゴミの管理にはどれぐらいの期間が必要か」と聞いたら、100万年、安全管理が必要だと。ありえないでしょ。

 原発問題を入り口に、TPPや貧困の問題などに関わることが多くなりました。別々の事柄に見えて、根っこは繋がってますから。

山本太郎が国会議員になったことの意義

 メディアが僕のことを「反原発の」という風に取り上げるというのもあって、「原発・被曝のことやってないじゃないか」っていう批判もあります。

 ただ、「原発・被曝」の問題に関しては、バイアスがかかった情報が流れてる中で、多くの人々は辛い話には耳を閉ざしたい状況の様に感じます。全員が同じ思いになりにくい。

 だけど、税金や雇用っていう問題に関してはみんなそれぞれが納税者であり労働者であるわけだから、自分の事として受け止められる。「政治がおかしい」という基本的な部分に気づいてもらえるんです。分母を増やしていかないことには、世の中変えられないですよね。

 山本太郎を1人通した、2人通したからといって、世の中が大きく変わるわけじゃない。皆で力を合わせて変えて行きたい。山本太郎が国会議員になった一番の意味合いは何かと言ったら、市民ボランティアで1議席、国政で取れたということです。

 政治への不信感があふれていますよね、今。もういいや、って諦めたらその結果どうなるかと言ったら、組織票が強くなる。投票率が下がれば、企業から資金提供受けている人たちが強くなっていく。利害関係者の代表が議席を取りやすくなる。

 そういう人たちに「誰のために国会議員やっているんだ」と聞いてみたら、「大企業のお陰でございます」と心の中で答えますよ。恩返しする先は、お世話になった大企業、大資本って話。シンプルですね。

 来年の春からは統一地方選が始まります。いつ衆議院の解散があるかもわからない。そういうものに対して、まったく政治に興味がなかった人も今から動き出さなきゃ、この先もっと首が締まる様なルール変更が行われます、大企業の為に。

 皆で動いて、ひっくり返してやりましょうよ。

著者プロフィール

参議院議員

山本太郎

1974年、兵庫県宝塚市生まれ。1990年高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。1991年、映画『代打教師 秋葉、真剣です!』で俳優デビュー。『光の雨』、『GO』で2001年度日本映画批評家大賞助演男優賞を、『MOONCHILD』、『ゲロッパ』、『精霊流し』で2003年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、4月より反原発活動を開始。2013年7月、参議院議員選挙に東京選挙区より出馬、666,684票(11.8%)を得て当選。内閣委員会に所属。現在、原発問題、被曝問題、子どもと放射能、TPP問題、労働問題、社会保障制度改革、表現の自由に関わる問題等に特に深く関わり活動中。

(取材・文/DMMニュース編集部)

ピックアップ PR 
ランキング
総合
社会