大阪市内を歩いていると多々目にするのが激安自動販売機です。ときには販売価格10円なんてというものもあります。もちろんスーパーマーケットでも売られている、ちゃんとした商品ばかりです。
いま、筆者の目の前にある自販機は、いちばん高いもので60円。安いものだと30円です。これでも大阪市民にいわせると、「ちょっと高いほう」だそうです。
もっとも、この激安自販機で売られている缶ジュースやペットボトル。心なしか、売れ筋商品ではないものばかりが目立つラインナップです。しかし、“安さ”という魅力にはかえられません。
この激安自販機の前に、パンチパーマに豹柄模様のワンピ、ママチャリ……という、いかにも「大阪のおばちゃん」風の50代と思しき女性が、60円のペットボトルのお茶を買っていました。
大阪では定価でモノ買う間抜けはおらへん!!
――なぜ、この自販機で買い物を?
「そんなん、安いからに決まっとるやないか。ほかにどんな理由あるねんな!」
――あまりにも安すぎて心配になったりしませんか?
「何が心配やねん! 大阪ではな、定価でモノ買う間抜けおらへんで」
それにしても安すぎます。特殊な仕入れ先があるのか? さっそくこの激安自販機の横に張られている連絡先に問い合わせてみました。
安く仕入れてるから安く売る。当然や!
――激安自販機で缶ジュース買わせて頂きました。あまりにも安いのですが、その理由は?
「お客さんが喜んでくれるからやがな。それ以上の理由あるかいな!」
――いや、あの……。なぜ、こんなに安いのかということを教えて頂きたくて……
「安う、仕入れてるからや! それで定価で売ってみ。暴利やちゅうて、うちら消費者の袋叩きに合うがな。そんな汚い商売は大阪ではでけへんで!」
詳しく話を聞いてみると、メーカーや問屋とルートがあり、売れ残りそうな商品、もうすぐ賞味期限切れとなるそれを纏めて安く買うので安価での販売が可能なのだそうです。
だから、大阪の激安自販機は、定価で販売しているそれとは違い、いつも同じ商品が並んでいることはありません。価格も日によって変わることもしばしばです。
たしかに、私も、この激安自販機で缶コーヒーとペットボトルのお茶を買ってみましたが、賞味期限は2か月先。ペットボトルのお茶は、そろそろ冬用のものが出てもいい時期なのに夏用でした。もちろん味には影響はありません。
たまに目にする10円とか超価格安な商品は、「100円ショップでも売り捌けなかったモノを纏めて引き取ったから」(激安自販機管理会社)、安価での提供が可能だそうです。
消費税増税後も、この激安自販機の「値段を変えるつもりはない」(前出・同)といいます。
大阪に足を運んだ際、一度は、是非、この手の激安自販機で販売する缶ジュースを買ってみて下さい。定価ではもう買えなくなってしまいますから。
(取材・文/秋山謙一郎)