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デーブ大久保の”オヤジ転がし”と阪神・鳥谷のメジャー挑戦|プチ鹿島コラム

周囲の反対を押し切り鳥谷はメジャーに羽ばたくのだろうか…
 前々回のコラムで「デーブ大久保の監督就任報道」について書いた。デーブが出世した秘訣として、《球界のOBに対して『オヤジ』『アニキ』と呼んで慕うなど、秀吉タイプの人たらし》という週刊文春の記事を紹介し、《実は東スポはデーブ大久保の天敵でここ数年の大久保ネタを徹底して追い続けている》と私は書いた。

 今週、その東スポの専属評論家である大下剛史氏がデーブを直撃インタビューしていたのだが(11月7日付)、デーブのオヤジ転がしぶりが存分に紙面から伝わってきたのである。

「おう、元気か。監督就任おめでとう」と声をかける大下氏にデーブは「オジキ! わざわざお越しいただいてありがとうございます」。さっそく「オジキ」! デーブの全方位外交の一端がうかがえる。

 大下氏は「交流戦でお前が広島に来たら激励会を開いてやらないとな」とか「今日はそういうお前の顔を見て安心した。頑張れよ」と終始ご機嫌にデーブに声をかけている。あの「鬼の大下」をここまでメロメロにした男・デーブ大久保。来季の楽天にはやはり注目である。 

 さてオヤジジャーナルが注目する今の球界の話題は「阪神・鳥谷、メジャー挑戦か?」だ。7日発売のFRIDAYは「タイガースファンに最も愛される男・鳥谷敬よ、目を覚ませ!キミにメジャーは無理だ」と報じている。朝6時からトレーニングをするという鳥谷の身体と精神のタフさを強調しつつも、メジャーに行けば「控えで年棒は現在の半額」と伝え、「鳥谷よ目を覚ましておくれ」と、どちらかと言えばファンの立場で懇願している。

 日本人内野手の成功は難しい……というのが、日本のメディアの多くの論調だ。

 興味深かったのが今週の週刊文春(11月13日号)の鷲田康のコラム『野球の言語学』だ。鳥谷のメジャー挑戦は「実は西岡剛との抜き差しならない関係が影響している」と伝える。

 よく言えば昔気質で野球も遊びもという西岡とは、鳥谷は水と油の関係だという。

《加えて鳥谷が西岡を苦々しく思っているのが、自分一人で遊ぶならまだしも、若い選手を連れ回すこと。あまり他人に干渉しない鳥谷が、一部選手に「もっと野球に集中した方がいい」と西岡との交流を諌めたと漏れ伝わるほどである》と書く。

「昭和の匂い」がする西岡のやんちゃさ。そういえば昨年のオールスター第2戦で大阪桐蔭の先輩・中田翔と対戦した藤浪晋太郎が山なりのボールを投げて「乱闘コント」をしたが、指示を出したのは西岡剛だったという。しかもそのあとのオールスター休みに彼らのクルージングパーティがフライデーされるという「事件」があった。ああいうノリが苦手な人もいるだろうなぁと思っていたが、もしかして鳥谷がそうだったのだろうか。

 ストイックさとやんちゃさの二項対立。そして両雄並び立たず問題。これは野球チームだけでなく一般社会でも置きかえやすい、オヤジが好む「会社問題」でもある。

 鳥谷のメジャー挑戦はどうなるのか。もちろん、西岡剛がこの件にまったく関係ない可能性も最後に指摘しておきたい。

著者プロフィール

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)。

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