米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の、辺野古移設(名護市)が最大の争点となっていた沖縄県知事選挙。16日に投開票が行われ、移設に反対する無所属新人の翁長雄志氏が、移設推進を訴えた現職の仲井真弘多氏ら3氏をおさえて初当選。仲井真知事が、昨年12月に辺野古埋め立てを承認していたが、今回の敗戦によって動きかけた移設問題に待ったがかかるのは必至の情勢だ。
毎年確実に借地料が手に入るオイシイ投資物件
「普天間が我慢し続ければいいとは言いませんが、これで辺野古への移設計画が見直されるかもしれない。ひとまずは、ホっとしています」
辺野古のある名護市民のこうした声がある一方で、まったく違う理由で胸を撫で下ろす島民もいるようだ。地元の不動産業者が、こう打ち明ける。
「普天間しかり、軍用地のほとんどは、国が土地の持ち主(個人)に借地料を支払って借りているのが現状です。借地料は、沖縄県全体で年間約900億円とも言われ、しかも、毎年少しずつ値上がりを続けている。そのため、軍用地は毎年増収が見込める“投資物件”なんです。なかでも普天間基地は、売り手が出ればすぐに買い手がつく人気物件。一概には言えませんが、約1500万円(75坪)の土地で、年間40万円ほどの借地料を手にすることができます。相続や新規購入など様々ですが、県民はもちろん、普天間基地のある宜野湾市民の所有者も珍しくはないんです」
仮に移設が決まって返還されたとしても、区画整理されて土地が使用可能になるまでの10〜15年は借地料が支払われる。さらに、普天間基地は返還後には再開発が予定されており、“土地の持ち腐れ”と化す心配もないのだとか。
「心配がないとはいえ、少しでも長く確実な収入を得たいと考える人がほとんどです。当然ですが、移設には反対でしょうね」(同)
翁長氏の当選も、“移設は止められない。一時的な先延ばしに過ぎない”との声があるのもまた事実。果たして普天間基地移設問題はどう決着するのか。その動きを見守る島民の視点は、じつに様々なようだ。
(取材・文/佐々木浩司、Photo by Norifmui Ogawa via flicker)