上へ下への新感覚SF冒険活劇『サカサマのパテマ』

| あにぶ
サカサマのパテマ©Yasuhiro YOSHIURA/Sakasama Film Committee


“冒険活劇”と聞いて思い浮かべるのは、どういった物語だろうか? 金銀財宝を求めて各地を探検するお話? 巨大な敵を倒すためその根城に向かうお話? はたまた、漂流先で生き残るため様々な困難と奮闘するお話?

このように千差万別あるとしても、おおむね「未知の場所・未知のものに遭遇する」という点では同じだ。
今回紹介する『 サカサマのパテマ 』の物語も、主人公のエイジが、とある“未知のもの”に遭遇するところからはじまる。

■サカサマに“落ちていく”少女

その未知のものとはズバリ、ヒロインのパテマだ。
といっても、彼女は超能力者でもなければ未確認生命体でもない、ごく普通の女の子である。じゃあ一体なにが未知なのか?
それは、彼女とエイジが初めて出会うシーンを見ればすぐにわかるだろう。何故なら彼女は、空に向かって“落ちていく”からである。

もちろん彼女が自ら落ちていこうとしているわけではない。まるでサカサマに重力が効いているかのごとく、エイジから見て上の方へ自然と飛んでいってしまうのだ。
驚愕的な現象を目の当たりにした二人、たがいに戸惑いながらも言葉をかわしてく。そのボーイミーツガールが、世界を根底から覆す大事件になるとも知らずに……

■特徴的な世界観とストレートな物語

監督と務める吉浦康裕氏は出世作『イヴの時間』でも、アニメの文脈に囚われない、幅広い層に訴えかける世界観を見せてくれたが、『パテマ』でもその普遍性は健在だ。

今作の最大の特徴は、やはりその独特な設定にあるだろう。サカサマに落ちていくヒロインというだけでインパクト抜群だが、主人公のエイジが住んでいる架空国家・アイガも独裁政治が布かれており、我々の世界とは少し違った構造の社会になっている。

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