誰も知らなかった!? 札幌駅に隠された秘密のアートの正体が明らかに

「グッとくる」建築ナイトの正体とは? そして、登壇者オススメの建築は?

【ツブヤ大学のちょこっと四方山話】

 2014年8月にも開催され、ニッチな建築ファンから注目を集めたイベント「グッとくる建物」ナイトが帰ってきた!

 前回同様、イベントを仕掛けたのは毎回斬新な企画を行うことで知られるツブヤ大学。イベントは、2014年12月10日、神保町のワーキングスペースEDITORYにて開催された。一体どんな内容だったのか、建築知識のない人でも楽しめる同イベントをレポートする。

実際に足を運びたくなる! 「グッとくる建物」ナイト登壇者のオススメは?

 登壇者は、イベントの司会進行役で、メディアファクトリーの編集長である江守敦史氏、面白い物件を集めた不動産サイト「東京R不動産」の吉里裕也氏、空撮プロカメラマンの吉永陽一氏、そして建築史家の米山勇氏だ。

 まず、「グッとくる建物」をプレゼンしたのは吉里氏。新大久保の軍艦マンションや香川県の仏生山温泉、岐阜県の養老天命反転地などを挙げていく。中でも、思い入れがあるのは金沢21世紀美術館。吉里氏が中学、高校時代を過ごしたという金沢の代表的な建造物だ。敷地自体が円形で、建物も円形なのが最大の特徴。さらに、建物の壁面は曲面ガラスで多角形にならないよう、美しい曲面にするためにかなりこだわって作られている。そのため、相当高額なのだという。

 続いて、空撮プロカメラマンの吉永氏が、自ら撮影した鉄道駅の空撮写真とともに「グッとくる建物」を紹介した。とくに印象的なのが、札幌駅。札幌駅は、元々地上にホームがあったが、1990年に全面高架下化されている。吉永氏は、このエリアを空撮して貨物エリアが一つのアート作品になっていることに気づいたのだとか。なんと、貨物の上部に「北海道大学」「札幌ドーム」などと行き先が英語表記で書いてある。空撮することで、こうしたアートをよりハッキリと楽しむことができるというわけだ。

 登壇者の中でも最もトークに熱がこもっていたのが、建築史家の米山氏。「グッとくる建物」として、桂離宮や如庵、広島平和記念公園及び記念資料館などを挙げた。平和記念公園を設計したのは建築家の丹下健三だが、米山氏はその弟子である黒川紀章の建築について「理屈なしに楽しい」と絶賛。数々の建築物の中でも、黒川紀章の集大成となるのが、六本木にある国立新美術館だという。 

 米山氏いわく、「黒川紀章さんは、妻の若尾文子さんを喜ばせるために国立新美術館を設計したんじゃないかと思うんです」と、一つの仮説を教えてくれた。 「国立新美術館ができたとき、黒川さんは文子さんを連れて森タワーに上ったと聞いています。そこで『どうだ、いいだろう?』なんて言ったんじゃないか。そう考えた時、僕はグッときましたね(笑)」

次回開催が待ち遠しい! 愛あり、ユーモアあり、感動ありの建物ナイト

 建築好きによる単なる知恵のひけらかし合いではなく、建物への愛あり、ユーモアあり、新たな発見ありのイベントで、建築への知見がなくても存分に楽しめた。実際に、その建物を見に足を運んでみたいとすら思える時間だった。

 今回も大好評だった「建物ナイト」の、第3弾を期待せずにはいられない!

ツブヤ大学とは?
NPO法人ツブヤ・ユニバーシティーが運営する企画。2010年1月25日より本格的に始動。開始当初よりUstreamなどネット配信を活用した企画を行っている。マンガやゲームなどのサブカルチャーを中心に、アイドルビジネスに迫るイベントや建築に関する企画まで尖った企画を多く行っている。
公式サイト/ツブヤ大学

(取材・文/DMMニュース編集部)

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