記録的寒波に気候学者が警鐘「地球は氷河期に突入した」

Photo by whitetail96 via flickr

 記録的寒波が押し寄せている現在、東京では例年より20日も早く降雪があり、厳しい冬になることが予想されている。日本のみならず、アメリカも大寒波に見まわれ、ニューヨークは既に12月はじめから積雪しているという。こうした世界の寒冷化現象について、アメリカの気象学者ジョン・L・ケイシーが衝撃的な説を発表して話題となっている。

 フロリダに位置するSpace and Science Research Corpの代表を務め、以前はNASAでスペースシャトルのエンジニアやコンサルタントとして関わっていたケイシーは、最近出版した著書『Dark Winter(暗い冬)』のなかで、地球温暖化説は間違いであり、地球は過去数年で寒冷化し続けていると警告。現在の寒冷化は1700年台後半から1800年台に起きた現象にもよく似ており、太陽が極小期と呼ばれる不活発な時期に突入した際に見られるものだという。こうした極小期には、太陽の黒点やフレアが減少すると言われている。

「自然のサイクルと統計データを見れば、太陽が地球の気候に影響していることは明らかです。ここ100年間の地球全体の気温チャートを見ると、2007年に急激に温度が下がっているのが分かります。この低下は過去100年で最大のものです」(ジョン・L・ケイシー)

長期的な寒冷化がもたらす意外な影響

 こうした主張を行っているのは実はケイシーだけではない。ロシアの宇宙物理学者、ハビブロ・I・アブドゥサマトフもまた、地球は既に小氷河期に突入していると主張している。二人は、太陽の活動が地球の気候を変動させている、という視点で一致しており、それは黒点によって観察できるとしている。しかし過去十数年来、環境保護活動家が警告してきたのはむしろ地球温暖化だった。この点についてケイシーは次のように批判している。

「そこには2つの根本的な間違いがあります。まず第一に、彼らが主張する温室効果ガス理論と地球の気温変化の関係は、CO2が増え続けた場合、気温も同時に上昇し続けるというものですが、実際にはそうはなりません。そして第二にその間は気温の低下が絶対に起こりえないというものですが、実際には過去11年に渡って寒冷化し続けているんです。」

 ケイシーは今後最悪の寒波は、2020年後半から2030年初頭にかけて訪れると予想。その際には食物や灯油を巡る争いが勃発し、米政府が農作物を輸出を禁止することまで予測している。さらに長期的な寒冷化により、地球の地層にも影響を与え、火山活動や地震が活発化することも懸念している。ケイシーによれば、近代アメリカで起きた最大の地震は1812年にミズーリ州のニューマドリッドで起きており、それは前回の極小期と一致しているという。またこうした地球の変化が人間にも影響し、社会変化が起こるとも指摘ている。1789年に起きたフランス革命は、前回の極小期が始まった時期であるという。ケイシーはこう警告している。

「現在の地球には、このように本格的で長期的な寒さを経験した人はいません。アメリカではなおさらです。事態は深刻なのです」

 現在の大寒波は、ほんの序章にすぎないのかもしれない。

(取材・文/木林純一)

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