小沢一郎が最後の勝負…大物議員の一本釣りで復活の皮算用

果たして小沢氏はどう動くのか(画像は公式サイトより)

 12月24日、衆議院選挙後初の国会が召集された。わずか3日間の特別国会では、首班指名で安倍晋三総理大臣が選出されて、第三次安倍内閣が発足する。

 先の衆院選で与党の自民党は微減、公明党は微増と情勢はほぼ横ばい。野党の民主党は10議席以上も増やしたが、代表が落選するなど敗北感が漂っている。共産党は20議席超と勢力を拡大。次世代の党が公示前議席から17も減らした2議席と惨敗。衆院選で与野党の勢力図が大きく塗り替わることはなかった。政局が変わらない状況下で、政治記者たちが注目しているのが生活の党の小沢一郎代表の動向だ。

小沢一郎に降りかかる苦悩

 小沢一郎代表は今回の衆院選で前人未到の16選を決めたが、生活の党は岩手4区の小沢一郎代表と沖縄3区の玉城デニー議員の2人しか当選しなかった。ほかの候補者は比例復活もできずに涙を飲んでいる。生活の党は衆議院議員2人に参議院現職の谷亮子議員と主濱了議員の2人を合わせて4人の小所帯になった。

 実は、現職の国会議員の人数は政党において極めて重要である。政党助成法では、現職の国会議員が5人以上いるか直近の国政選挙での得票率2%以上ないと政党として認められない。政党として認められないと、政党助成金を受け取ることができない。

 共産党は政党助成金の受け取りを拒否しているが、2014年の政党助成金総額は約320億円。これらは、すべて税金で賄われている。

 政党助成金は1月1日を期日とする。それまでに小沢一郎代表は、あと一人国会議員を生活の党にスカウトしなければ生活の党は政党要件を失う。小沢代表は野党再編を持論にしているが、それより先に生活の党の生き残りを模索しなければならない。それには、無所属で当選した議員を生活の党に引き入れるのが手っ取り早い。

 政治記者の間では、小沢一郎代表は広島6区で当選した亀井静香議員を狙っていると囁かれている。民主党政権時代、亀井議員は不正献金疑惑を報道されていた小沢代表を何度もかばっていたし、その後に小沢一郎議員が中心になって嘉田由紀子滋賀県知事(当時)を党首とする日本未来の党の結党にも参加している。

 そうしたことから、亀井静香議員の生活の党合流報道が出たと思われるが、亀井議員は当選直後の会見で生活の党への合流には否定的なコメントをしている。

 亀井議員の合流以外にも小沢代表が打つ手がないわけではない。例えば、選挙前に生活の党から民主党に移籍した鈴木克昌議員や小宮山泰子議員、維新の党に移籍した太田和美議員の存在がある。これら元生活の党出身の議員たちは、比例復活組。国会法では比例当選した議員は他党に移籍することが禁じられている。

 しかし、選挙時に存在しなかった新党に合流することは可能だ。つまり、生活の党をいったん解党し、新党を結成して比例組を参加させるというウルトラCが残っている。

 現状の4人のままでは政党党交付金は0円だが、1人でもスカウトできれば約4億円の政党交付金を得られる。

 タイムリミットは迫っている――果たして、小沢一郎代表はどう動くのか?

(文/小川裕夫)

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