[2015年【ニッポンの未来】大予測]

【LGBT市場】近隣諸国で本格的なJAPANムーブメントが幕開け

シーズンに1回、STUDIO COASTで開かれている3000人クラスのゲイイベントShangri-La

【ゲイリーマン発 日本のリアル】

 いよいよ2015年です!今回はDMMニュース編集部特別企画の一貫「2015年“ニッポンの未来”大予測」に参加させていただきます。私は日本のLGBT市場、中でも都市部のゲイの生活者にスポットを当てて、2015年を予測してみたいと思います。

その前に、ゲイ業界の旅行事情

 ゲイは旅行好きとよく言われますが、実際のところ筆者も旅行が大好きで、旅行好きなゲイの友達はとても多いです。その土地の観光スポットに訪れたり、美味しい食べ物を味わったりするのはもちろんのこと、ゲイの場合は現地のゲイたちが集まる飲み屋やクラブを調べて足を運んでみたり、大きなゲイ向けのクラブイベントに合わせて旅行の日程を組んで参加してみたりして、そこで現地のゲイたちと仲良くなったりするのも旅の醍醐味の一つと考えている人が多いように感じます。

 先進国や新興国の大都市の多くにはゲイ向けのクラブやバーが存在し、それぞれの国のゲイたちは週末になると友達同士や一人で遊びに出かけて行き、それぞれの土地で緩い”コミュニティ”を形成しています。

 ただ、東京を含めゲイと言っても人数は限られているもの。大都市とは言えど、コミュニティの大きさには限りがあります。たまには自分を知っている人が誰もいないところで思いっきり遊びたいというニーズも少なからず存在し、そうしたゲイのコミュニティ事情特有の心理が働いて、洋の東西を問わずゲイたちにはいつの時代も高い旅行のニーズが存在しています。

 こうした事情から、毎年日本から多くのゲイが各地に足を運んでいました。ただ、ここ最近は少し事情が変化してきました。2012年暮れの政権交代後の急激な円安の影響は、私たち東京のゲイコミュニティにも目に見えた変化をもたらしています。

円安の影響はこんなところにまで!

 東京では新木場にあるクラブ、STUDIO COASTにてシーズンに1回、約3000人程が参加するゲイイベント「Shangri-La」が開催されています。筆者もこのイベントには度々友人たちと参加していますが、2013年の夏のShangri-Laあたりから、台湾や韓国、中国等からShangri-Laに合わせて東京に遊びに来たという近隣のアジア諸国のゲイたちが明らかに増えて来ています。

 円安に加えて、ビザ発給条件の緩和や複数の格安航空会社(LCC)が日本に就航するなど、アジア近辺のゲイたちにとって日本や東京はここ数年で急激に身近なものになっていることが伺えます。

2015年はJAPANムーブメント本格化の年へ

 2015年、観光に関わることで言えば4月に成田空港に第3旅客ターミナルがオープンします。3つ目となるこのターミナルはLCC専用となる予定で、近隣国の大都市と東京が更に近くなり、なおかつ更に安くで行き来できるようになります。

 加えて、2014年の後半から原油価格が急落。2013年12月には1バレル110ドルの値をつけていましたが2014年の12月には80ドル前後にまで落ち、この価格下落傾向は2015年を通して続くものと思われます。つまり、国際線に乗るときに運賃とは別に支払っていた燃油サーチャージが大幅に値下げされるか、2015年中になくなることもありえます。

 また、3月には北陸新幹線が全線開通。金沢や福井などと言った日本海側の観光地へのアクセスが劇的に向上し、東京へ遊びに来たことのある人たちも、リピーターとして訪れる動機になるかもしれません。

 さらに、5月にはスマートフォンのSIMロック解除が義務化されます。それに伴い、様々な事業者がSIMカードのデータ通信サービスに参入してきており、ここ数ヶ月の間だけでも競争が激化。1GB数百円から使えるものまで登場しています。海外では既にシムフリーのスマートフォンが一般的ですので、日本に旅行に来ている間の数日間であれば、こうしたSIMカードをうまく利用すれば通信費を格安に抑えることができますし、その準備が日本側でも整いつつあります。

日本はアジアのゲイには魅力的な国

 これだけ準備が整ったところで、国や土地に魅力がなければ意味がありません。だけど幸いにしてアジアの若いゲイたちの多くは、日本を非常に魅力的なところと捉えてくれているようです。

 特に東京には、ファッション雑誌の中の世界でしか見たことのなかった原宿や代官山があり、新宿では毎週末のようにゲイ向けのパーティが開かれ、自国の何倍もの規模のゲイコミュニティが存在し、あわよくば東京のゲイと一夜を……なんて妄想も(笑)

「だけど、東京に遊びに行けるのは一部のお金持ちだけ」

 これが少し前までのアジアのゲイたちの一般的な価値観でした。だけど今、その東京がちょっと頑張れは遊びに行ける街になりつつあります。そして機が熟すのを待っていたかのように2015年はそんな海外の若いゲイたちにとって朗報とも言えるニュースが目白押しな年となりそうです。

 今年の新宿二丁目界隈や大きなゲイイベントなどには、アジアの若くて可愛いゲイがこれまで以上にたくさんやって来るかもしれないと思うと、筆者も2015年がとても楽しみです(笑)。

著者プロフィール

ゲイライター

英司

東京・高円寺在住のアラサーゲイ。ゲイとして、独身男性として、働く人のひとりとして、さまざまな視点から現代社会や経済の話題を発信。求人広告の営業や人材会社の広報PR担当を経て、現在は自社媒体の企画・制作ディレクターとして日々奮闘中。都内のゲイイベントや新宿二丁目にはたびたび出没(笑)

筆者運営ブログ「陽のあたる場所へ ―A PLACE IN THE SUN―」

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