フランスの風刺画は「芸人の業」だった!?|プチ鹿島の『余計な下世話!』

フランスの風刺画は「芸人の業」だった!?|プチ鹿島の『余計な下世話!』

 先週「大阪の交通標識にステッカーを貼って"アート"と主張した、フランス人アーティスト」というニュースがありました。道路交通法違反で共犯の女性が逮捕された。私は『荒川強啓デイ・キャッチ!』(TBSラジオ)でこのニュースを調べたのですが思わず「ははぁ。」とうなってしまったのです。

 というのは、このフランス人アーティストは「道路標識は権威の象徴。タブーに触れることで、言論の自由を表現したアート作品だ」と主張しているのだ。出た! 言論の自由、表現の自由! 話題のキーワードがここにも。やっぱりフランス人!

 この事件に対して日本での反応は「なんでもアートと言えばよいわけではない」とか「場所を考えろ」という声も多かった。ではフランスでは過去にこの「道路標識アート」にはどんな反応だったのだろう。フランスに詳しいジャーナリストに聞いてみた。すると「おもしろがっている人が多い」というのです。おまけに「過去フランスでは逮捕されていない」と。もし今回日本で逮捕されたら「なんて日本はウィットのわからない国だと、そっちの方がニュースになったのだろう」というのです。

 一口に表現の自由と言いますが、日本とフランスじゃほんとに温度差がある。「やはり革命で自由を勝ち取ったからですか?」と聞いてみると、ジャーナリスト曰く「自由は放っておくと守られなくなる」という意識があちらの国にはあるという。

●フランスの笑いは「差別」と「上から目線」をたっぷり含んでいる

 そして今回の風刺漫画テロ事件だ。まさに「自由を守るために」闘っているのだろう。ここも大事なポイントだが、フランスの笑いはキツイ。もっと言えば「いけすかない」。その姿勢は「笑い」を放ったあとの毅然さにも出ている。たとえば2012年にフランス国営テレビは、サッカーの試合で活躍した日本代表GK川島選手の腕を「四本腕」にした合成写真を紹介して「フクシマの影響ではないか」とコメントした。

 言われたほう(日本側)はそのえげつなさ、もっと言えばそのつまらなさにギョッとしたが、コメントした司会者は「私の冗談の対象は2つ。日本に負けたフランス代表と、原子力災害が引き起こす結果だ」と堂々と述べていた。原発事故の悲惨さという本質を問題にしているのだと毅然としているのだ。

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