これまで、太陽系の惑星や衛星の探索といえば、陸上を前提にしていた。
しかし、ついにNASAは水中での探査ロボットを計画し始めた。それは、土星の衛星であるタイタンにある、メタンの海を調査しようという目的だ。
『Titan Submarine Phase I』と名付けられた計画では、なんと宇宙空間で潜水艦を運び、タイタンのメタンの海に投入しようというのだ。
■ 目指すはタイタンの海
タイタンは科学者達にとって、注目すべき衛星だった。
衛星とはいえ、水星より大きく、気圧は地球の1.5倍ほどだ。その大気のほとんどは窒素(97%)とメタン(2%)で、気温はなんと−179度とされている。そこに、液体メタンの雨が降り、川が流れ、海ができている。
探査機ボイジャー、カッシーニ、ホイヘンスからのデータにより、タイタンには3つの大きな海があることがわかっている。そのなかでも最大のものが、Kraken Mareだ。ここがNASAが潜水艦を送り込もうとしている海だ。
Kraken Mareの探査はかなり挑戦的な試みとなる。このメタンの海は、400,000平方キロメートル、深さは160メートルと見られており、潮流もある。
また、タイタンでは、潜水艦を地球からリアルタイムで制御できないという問題がある。
タイタンとの連絡は、片道80分かかるため、何か命令を送信しても、その結果が返ってくるまでに160分かかってしまうのだ。
しかも、タイタンは太陽から遠いため、太陽光発電は期待できない。
潜水艦が収集したデータは、浮上の際(1日の内16時間)に、巨大な背びれのようなアンテナから地球に送信する。浮上と潜水はバラストタンクで調整される。