2015年に内部公開…「太陽の塔」に込められた危険な呪術とは?

太陽の塔が持つ異様なパワー(写真/井川楊枝)

 万博記念公園(大阪府吹田市)にある「太陽の塔」の内部が、2015年を目処に常時その内部が公開されることが決定し、準備が進められている。太陽の塔は、芸術家の岡本太郎が1970年の大阪万博のテーマ館のシンボルとして制作した。

 近年だと、この塔は、映画『20世紀少年』で「ともだちの塔」に化けて登場した。また、2月25日には『コップのフチの太陽の塔』なる商品も発売されるようで、また密かにこの塔はブームになっていくのかもしれない。

 しかしなぜ、この一見珍妙に見える塔は、長年にわたって人々の心を捉えているのか。作者である岡本太郎の著書を読み、「太陽の塔」の周辺で起こった出来事を見ていくと、この塔が持つ異様なパワーの源を窺い知ることができる。

「太陽の塔」の制作当初、岡本太郎は、恐山の石積み、ストーンサークル、イヌシュクの石積み……など、世界のありとあらゆる呪術と接し、インスピレーションを受けていた。そんな中、岡本がとりわけ興味を惹かれたのが、アステカの「太陽のピラミッド」だった。

「太陽のピラミッド」は、生贄の儀式が行われていたことで有名だ。その昔、太陽神と交流するため、ピラミッドの上で何千人という生贄たちが、生きたまま心臓をえぐり出され、太陽神に捧げられた。岡本は、その儀式の中に、人間の生命が宇宙エネルギーと交流する壮大なロマンを見出したのである。岡本の著書『美の呪力』の文章を引用しよう。

「人間生命が透明な流れをもって宇宙のエネルギーと交流している。人間主義という狭い枠の生まれる以前の、呪術的世界観なのだ」

 岡本太郎が『太陽の塔』を制作する上で、このピラミッドを意識したのは間違いない。それはまず「太陽」という共通の言葉もあるが、双方の高さは全く同じ65メートルなのだ。

 また、太陽のピラミッドにて発見された「太陽の円盤」だが、これが『太陽の塔』のてっぺんにある金色の顔と酷似しているのも偶然とは考えにくい。

太陽の塔付近で頻発する、おぞましい事件

 そんな『太陽の塔』にて事件が起こったのは、1991年のこと。プロレス団体のレフェリー、アイアンマン西田さんが当時を回想する。

「大仁田厚率いるFMWの地雷爆破デスマッチが万博広場で催され、私は東京から観戦に訪れました。それはちょうど、『太陽の塔』付近のお祭り広場でした。売店のプラスチックの屋根を歩いていたファンが転落したんです。しかも、転落した場所には首尾よく突起状の傘立てがあり、仰向けに背中から胸部を貫通したとのことです」

 事件はそれだけにとどまらなかった。

 2007年5月、万博公園の敷地内の遊園地にて、ジェットコースターがレールから脱線して鉄柵に衝突した。2両目に乗っていた女性の首が鉄柵に挟まれ、その首がレール下の自販機の裏に落下したのだ。

 屋台の上から落下して串刺しになった男性に加え、ジェットコースターの脱線で首が切り落とされた女性──。2人ともまるで処刑でもされたかのような尋常ではない死に方と言えないだろうか。こうした事件を見ると、『太陽のピラミッド』と同様、『太陽の塔』も人の生き血を求めているのではないだろうかとオカルトチックな想像をしてしまう。

 『太陽のピラミッド』によってアステカ帝国は繁栄を極めたが、それと同様に『太陽の塔』が制作されて以降、日本は高度経済成長によって発展を遂げた。岡本太郎は、危険な呪術とともに、日本の繁栄への祈りをこの塔の中に込めたのか──。

 となれば、『太陽の塔』と向き合う際には、宗教的シンボルと接するような心構えが必要とされるのかもしれない。

(文/井川楊枝)

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