バブル崩壊まで百貨店は、どの都市にとっても繁華街のランドマークであり、小売業の王様だった。
時代は移り変わり、現在の日本で百貨店経営が成り立つのは、人口100万人規模の都市くらいと言われる。実際、現時点で全国の政令指定都市には必ず1つは百貨店が存在する。ところが、「100万人ライン」を40万人以上も上回るにもかかわらず、市内唯一の百貨店が消滅する政令指定都市がある。
東京都と横浜市に挟まれた神奈川県川崎市は、人口約142万人。県庁所在地以外で最も住民数が多い。
川崎唯一の百貨店として君臨してきた「さいか屋」が、2015年5月末をもって営業を終了する。
閉店まで残り約3カ月となり、大感謝セールが2月25日から各フロアでスタートした。
さいか屋川崎店閉店大感謝セールの告知(同店の公式サイトより)
明治時代初期に横須賀市で創業したさいか屋は、1951年に念願の川崎進出を果たす。現在の水準からすると決して広くはない店舗だが、1988年にJR川崎駅前に開業した西武百貨店川崎店の攻勢もしのぎ、地域一番店としての地位を死守してきた。
刺客は駅反対側にできたガリバーモールそんな状況が一変したのが、2006年にJR川崎駅西口にオープンしたラゾーナ川崎プラザ。東芝工場跡地に建設され、駅直結の好立地にもかかわらず延床面積はさいか屋の約5倍もある。
ららぽーとを展開する三井不動産が運営するだけあって、客を飽きさせない仕掛けはお手のもの。テナント誘致能力は最強クラスだ。
川崎市民どころか、多摩川を隔てた東京都大田区や横浜市鶴見区あたりからも人が押し寄せる一方で、さいか屋は窮地に追い込まれていった。
テナントに「洋服のサカゼン」を迎え入れたり、外商を廃止したりと、なりふり構わぬ経営努力で黒字化を果たしたが、リースバックしたファンドから定期建物賃貸借契約の更新を断られ、閉店することとなった。
上記のとおり、全国の政令指定都市には最低1つは日本百貨店協会に加盟する「百貨店」がある。