【イスラム国】外国人兵士7万人に拡大…格差と貧困に苦しむ若者が続々

Photo by Bryan Dorrough via filkr

「日本は戦争に参加するという愚かな選択をしたために、(後藤)健二は殺される」

 呪文のようなIS(イスラム国)兵士の言葉とともに日本人二人が人質事件でISに殺害された事件から約1か月。あの忌まわしい人質事件も、川崎市の中学一年生殺害事件など、たて続けに起きる国内のおぞましい事件の発生などで、早くも日本人の意識から少しずつ記憶のかなたに押しやられがちだ。

 しかし、そんな中、日本の公安関係者はいささかも緊張感は解けず、日々、日本国内でのテロに対しての警戒感は高まるばかり。私に接触してきた公安関係者は、その恐ろしさをこう明かす。

「米を中心とする有志連合は空爆でIS兵士2000人近くを殺害したというが、ISには日々、世界から巧妙なIT勧誘で外国人兵士が続々と加入している。当初1万5000人の外国人IS兵士などと言っていたが、とんでもない。その数はなんと7万人近くまで膨れ、いまだに膨張し続けているという報告もある」

格差と貧困に絶望した若者が続々と…

 そして、その公安関係者が口頭で教えてくれた各国のIS兵士数は驚くべき数値だった。

 IS兵士の最大供給国はチュニジアで約3000人。他、次の数値が並ぶ。

 風刺画掲載紙「シャルリー・エブド」社が襲われたフランスは約1200人。イギリス約600人。ドイツ約600人。2月14日イスラム教風刺画などの表現の自由集会で男が銃乱射、2人が死亡するテロが発生したデンマークも約200人からのIS参加兵士がいる。そして中国は新疆ウィグル自治区を中心の中国人IS兵士は約300人。アメリカ約100人。

「さらに2月末にはイギリスの10代の少女3人が親に無断でISに参加するためシリア国内に入り衝撃を与え、さらにアメリカではオバマ大統領暗殺をも厭わないとする若者3人がISに渡航しようとしたとして逮捕されている。続々と若者がISを目指し、テロ対策に奔走する各国の警察、公安、軍関係者らに衝撃を与えている。だから日本国内でも影響を受けやすい若者に警告を与え、歯止めをかけ、さらにホームグロウンテロも含めて情報と具体的警備を進めないと大変なことになる」

 と警戒を強める公安関係者。

 その公安関係者は、さらにIS傘下の世界の一枚のテロ組織地図を示した。筆者が、それをザッと見ただけでもシリア、イラクのISを筆頭に地中海、アフリカ周辺に24もの組織が記される。

 現実の格差と貧困に絶望し、過激になりがちな若者を巧みに取り込むISの巧みさと不気味さ。その意味では日欧米でのテロの脅威は水面下では1月よりはるかに高まりつつある。

田村建雄(たむらたてお)
1950年生まれ。地方新聞記者から週刊誌記者に。現在は月刊誌、夕刊紙などに政治、事件記事など寄稿。著書に『ドキュメント外国人犯罪』『中国人毒婦の告白』など多数。
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