【東京vs地方】東京にはないローカルの魅力とは?

ローカルの魅力が次々に…

【ツブヤ大学のちょこっと四方山話】

 気鋭のゲストと突き抜けたトークで話題のツブヤ大学。今回は、2月23日に開催されたトークイベント、『雑誌から読み解く地域+One』をレポートする。

 2014年10月に開催されたイベントの第2弾で、『東京ウォーカー』をはじめとする角川ウォーカー責任者の玉置泰紀氏、『ソトコト』編集長の指出一正氏、『オズマガジン』編集長の古川誠氏、進行役として美容文芸誌『髪とアタシ』を編集・出版しているミネシンゴ氏に加え、今回は「+One」として、物件検索サイト『東京R不動産』代表の吉里裕也氏を加えた5名でのトークが展開された。

地方の方がのんびりしていて今っぽい

 まずは、「東京にはない魅力。ローカルにしかない魅力」というテーマでトークがスタート。この議題に対し、「東京を意識していないところが……」と語り始めてくれたのは古川氏。

「方言や食べ物などの独自性が面白く、昔よりも、その地域の人が自分の地域の面白さを自覚している。例えば、福岡の人は東京に負けているとは思っていない。東京をガチガチに意識しているところもあれば、そうではない地域もある。こういう部分が日本の広がりになっているんです。東京を中心とする考え方もあったが、最近では、そうでない地域も増えてきた。そういう場所の方が、のんびりしていて今っぽいと思いますね」

 また初参加の吉里さんは、不動産という視点から東京にはない魅力をこう語る。

「圧倒的に土地代(住居費)が安いということですね。それと、プロジェクトが起こしやすいことも大きな魅力。例えば、“街づくり”にしても、コミュニティが小さいので、地元メディアなどに取り上げられてすぐに広まってくれる。東京でやるよりも、地方でやった方が反応が見やすいですね」

 指出氏は、『ソトコト』の価値観が好きな読者層からこう分析。

「僕もそうなんですが、東京で働いていたり生活していると、自分がどこまでかかわっているのかが、分からなくなることがある。それが、人口が10万人くらいのところに行くと“解像度”が上がるじゃないですか。そのため、事を起こしたときに波紋が広がるのが早くて、自分がやってきたことの足跡などを残しやすいのは地方かなと思います」

地方と若者のマッチングポイント

 来場者からは質問がよせられた。質問内容は、移住してきた若者と地元住民とのかかわり方。いわば、マッチングのその先やハブとして役割にかんして。この質問に対し、編集長というポジションではあるものの、自身も地方に身を置いたことのある玉置氏は、

「その地域に溶け込むということに尽きると思うのですが、そのためには、地元の有志を見つけることが重要かなと思います。地方には、何かしらことを起こそうという人が数人いると思うのですが、彼らはなかなか繫がれない。ひとりで発信し続けるのは非常に大変なことなので、仲間を増やして、コミュニティを拡大していくことができれば、新しいことが生まれてきますよね」

 地方で不動産展開を積極的に行っている吉里さんは、自身の苦労話を交え、こうアドバイスを送る。

「日本各地、どこにいっても“うちの田舎はこうだからねぇ”という気質が存在しているんです。ここにちょっとしたきっかけを与えることが重要。例えば、僕たちが行っている“トライアルステイ”というプロジェクト。これは、地元の人に空き家を出してもらって、そこに1ヶ月500円くらいで住めますよというモノなのですが、空き家を出してもらうのに非常に苦労するんです。ですが、頼み込んだりして一度空き家を出してもらうと、それ以降はハードルが下がるというか、意識が変わってくれるんですね。こういうイベントというか、きっかけをつくることで、ローカルとそこに移住なりしてきた人々の距離は一気に縮まるなと感じています」

 また、古川氏は“雑誌に出来ること”という、メディアの観点から持論を展開してくれた。

「応援することと継続することが大切かなと思います。例えば、町おこしは勢いのあるときはガーッといくと思うんですけど、それを続けていかないと本当の意味での町おこしにはならない。ここで雑誌に出来ることは、そうした動きを継続して、発見・発信すること。こうした点を意識して、かかわっていければなと思っています」

ダブルプレイスの新たな可能性

 そして話題は、いま注目の“ダブルプレイス”に。ダブルプレイスとは、首都圏と地域都市との2地域を拠点にして生活するという、新たなライフスタイルだ。来場者から、函館と横浜でのダブルプレイスを成立させるにはどうするべきかという質問に、指出氏は世田谷(東京都)と十日町(新潟県)を例に挙げて回答する。

「世田谷と十日町は提携都市ということで、5月〜10月の間は無料バスが出ている。こうした動きは、ダブルプレイスを行う上で非常に便利なんです。これが函館と横浜となると、ちょっと難しいかなという気はします。距離の問題だけではなく、函館と横浜はどちらも地方都市。なので、この2地域を繋げるのには、音楽だったり何かしらイベントのような仕掛けが必要なのかもしれません」

 ここで、ミネ氏がおもしろいプランを提案する。

「久里浜(神奈川)と金谷(千葉)は、車でいくと2時間半かかるんですが、フェリーでいくと30分なんです。こういう点に注目して、勝手な姉妹都市なんかつくりたいなとも思ってるんですよね」

 回を重ねるごとに、地方の新たな魅力が発見できる同トークイベント。今回は東京にはない地方の魅力に始まり、東京を絡めた地方の魅力に発展。日本を根底から活性化する。地方には、そんな力も潜んでいるのかもしれない。

ツブヤ大学とは?
NPO法人ツブヤ・ユニバーシティーが運営する企画。2010年1月25日より本格的に始動。開始当初よりUstreamなどネット配信を活用した企画を行っている。マンガやゲームなどのサブカルチャーを中心に、アイドルビジネスに迫るイベントや建築に関する企画まで尖った企画を多く行っている。
公式サイト/ツブヤ大学

(取材・文/DMMニュース編集部)

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