気がつけば日本は未婚者だらけの国となり、婚姻率は1970年代前半の半分近くにまで下がっている。
もちろん恋愛と結婚は個人的なことで、他人があれこれ口を出すものではない――という考え方はあるだろう。しかし国や地方自治体の危機感は切実だ。「このままでは少子化や孤独死が進展するばかり。なんとかカップルを増やさないと」と、婚活サポート事業に乗り出している。
鳥取市は「新たな出会い支援事業」を2010年から実施している。具体的には毎年100万円程度の予算を組んで、婚活イベントに対する補助等を行ってきた。
2014年11月には市と地元企業が一緒になり、「すごい!鳥取市婚活サポートセンター」を開始した。
男女各20名程度が参加する婚活イベントや、6~10名の小規模グループが食事をしながら交流するパーティーなどを開催。2月15日の「バレンタイン婚活!」では5組のカップルが誕生した実績もある。
いい感じで推移してきた鳥取市の婚活支援事業。ところが3月13日開催予定の「ホワイトデー婚活!」は中止が決まった。
理由は男性の参加資格が「公務員」に限ったこと。3月6日の毎日新聞によると、5日にイベント内容がマスコミに報道され、「税金で実施するのは許されない」「職業限定は人権侵害では」と内容を批判する電話や電子メールが20件以上あったことから、その日の夜に開催中止を決めたという。
「俺たちの税金を使って、公務員サマは身内を結婚させようというのか!」――この件にお怒りの人たちの意見というのは、だいたいこういうところだろう。だがこの話、そんなに悪いことなのだろうか(もちろん、「税金泥棒」と言われないためにはもっとうまいやり方があったかもしれないが)。
少子高齢化に地方が苦しむ中、現場で働く公務員たちは、そんな町を支える中核的存在であり、そして貴重な住民だ。彼らの結婚率をなんとか上げようと自治体が取り組むこと自体は、十分合理的な話だ。事実、ネット上ではそうした冷静な声もある。
鳥取市の婚活イベント。今までの何度か実施してきて、女性が定員に達しなかった。男性を公務員限定にしたら定員以上の応募があった。