[3月の総力特集「新幹線開通でいま“北陸”がアツい」]

日本中の修験者が集う霊場も…行っておきたい北陸の神社

荘厳な雰囲気漂う白山比咩神社

 3月14日は、ホワイトデーではございますが、この日は北陸新幹線の開通日でもあります。ということで、今回は北陸の神社をいくつかご紹介してみたいと思います。

 まず、北陸の神社で大変有名なところとしては、石川県白山市に鎮座する白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)が上げられます。こちらは、全国に2,000社以上あると伝えられる白山神社の総本社とされる神社です。

 白山とは、富士山や立山と共に日本三霊山の一つとされる名山で、かつては修験者たちの霊場としても有名でした。白山比咩神社はそんな山岳信仰に始まり、現在では、最古の夫婦神たる伊邪那岐尊(イザナギ)と伊弉冉尊(イザナミ)、そして、白山比咩大神とされる菊理媛神(ククリヒメ)を祀っております。

 実は、このイザナギとイザナミを祀る組み合わせというのは案外よく見かけるものですが、こちらククリヒメを祀るというのは、白山神社系列特有のものとなります。そして、このククリヒメの存在こそが、この両神を祀る上で特別な意味を放っているのです。

 というのも、神話上において、イザナギとイザナミは最古の夫婦神として結ばれながらも、最後は喧嘩別れをしてしまいます。普通はこれで終わってしまうのですが、「日本書紀」の一書においてのみ、この仲を取り持ち、再び復縁させるという別のエンディングが存在します。そして、その役割を担った神さまが、こちらククリヒメです。

 このため、ククリヒメは結び事に良いとされ、私もよく、恋愛最強のトライアングルに例えて、この組み合わせのお話をさせて頂くことがあります。何故なら、ここにククリヒメが加わることで、終生の愛を迎えることが出来るからです。まぁ、あくまで神話の世界の話ではありますが、ご利益というものは、その神々の軌跡に負う部分も少なくありませんので、大事な要素であったりもします。

 もちろん、神社そのものも加賀国の一宮として非常に立派な佇まいをしておりますので、これを機会に良縁祈願を掛けて足を運んでみるのもいいかもしれません。さらに、こちらに向かう途上に鎮座する金劔宮(きんけんぐう)も、近年、船井総研の創業者、故船井幸雄氏が「お金に困りたくなかったらここに行けばいい」と言われたこともあって、金運パワースポットとして、かなり認知が上がっております。然程、遠くない距離にありますので、併せて参拝してみるのもいいかもしれません。

 また、金沢市内に鎮座する尾山神社(おやまじんじゃ)にも興味深いところがあります。こちらは、加賀の戦国武将、前田利家公をお祀りしているのですが、実はこちらには、神社の入り口に大きな欧州風の変わった神門があるのです。

 こちらは、明治期に建てられたものですが、洋風の神門というのは大変めずらしく、最上部にはステンドグラスが使用されております。和洋入り乱れての独特の景観はまさにここでしか見ることの出来ない光景です。

 そして、お隣、福井県敦賀市には、越前国一宮として有名な氣比神宮(けひじんぐう)があります。こちらは、北陸道の総鎮護の社と呼ばれ、一の鳥居は、木製のものとしては、日本三大鳥居の一つに数えられ、国の重要文化財にも指定されております。

 その創建年代に関しては定かではありませんが、一説には、その歴史は神代にまでさかのぼるとされ、第14代仲哀天皇はその即位後、当宮で国家安泰の御祈願をされ、神功皇后も三韓征伐の折、その勝利の予言を当宮で受けるなど、非常に古くからの言われを数多く残しております。

 こちらは地元ではかなり有名な神社ですが、北陸は意外にも神話との接点が多く、古くは大国主神(オオクニヌシ)の国作りに関連した神社もあります。しかし、険しい山と海に囲まれた地域性は、他の地域とはまた異なる独特の歴史観を漂わせています。どうしても、古都・金沢のイメージばかりに注目が集まってしまいますが、北陸の太古の息吹を感じてみるのも面白いかもしれません。

著者プロフィール

一般社団法人国際教養振興協会代表理事/神社ライター

東條英利

日本人の教養力の向上と国際教養人の創出をビジョンに掲げ、一般社団法人国際教養振興協会を設立。「教養」に関するメディアの構築や教育事業、国際交流事業を行う。著書に『日本人の証明』『神社ツーリズム』がある。

公式サイト/東條英利 公式サイト

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