【プロ野球】開幕前予想を裏切る中日、西武が“好発進”のワケ

福田永将が素質開花し中日が好調

 プロ野球が開幕、2カードを消化した。優勝候補筆頭に挙げられながら、7試合を終えて2勝5敗と調子が上がらないのが広島だ。

下馬評に反し広島、巨人がスタートダッシュに失敗

 中でも今一つなのがエース前田健太。開幕戦は7回7安打2失点、次の登板も7回8安打2失点。いずれも投手戦で競り負けた。3戦目、味方の援護を待ちながら耐えて勝利をつかんだ黒田博樹のように、カープの野球は「投手が粘って勝利をつかみとる」スタイル。今後の奮起を期待したい。

「金子次第」のオリックスもエースの離脱が響き1勝6敗。開幕前の予想は「セは広島、パはオリックス」だったが、ともにエースが不調で最下位をさまよっている。

 広島と同じく2勝5敗と調子が上がらない巨人は、チーム打率がセ最低の.218。その元凶は阿部慎之助(24打数6安打.250)と村田修一(26打数4安打.154)の2人だ。中日戦で小笠原将大に打たれた勝ち越しタイムリーも、記録はヒットだが阿部が抑えねばならない打球だった。「守備に不安あり」と見た急造一塁手は、やはり動きが今一つ。阪神戦では「99%ない」とした捕手復帰となったが白星を飾ることはできなかった。原辰徳監督は、どこで思い切った決断をするだろう。

 8点のリードをもらいながら踏ん張れず、5回1死でKOされた日本ハムの斎藤佑樹は想像通り。あの投球術で一軍にいることが不思議で仕方がない。開幕戦こそ勝利した大谷翔平は「あの投球内容では、今年は苦労するかも」と思わせるピッチングだった。

中日・福田、西武・高橋、森友哉が救世主となるか

 開幕3連敗の後、4連勝と波に乗ってきたのが中日だ。中でも福田永将が17打数6安打3本塁打と素質を開花させた。森野将彦の負傷離脱で巡ってきたチャンスを見事にものにした。

 巨人戦初戦で杉内俊哉、山口鉄也を打ち崩し、3タテの立役者となった。オープン戦から続く好調を維持しており、「いい選手」になりそうな予感のある打者だ。パワーもあり、打球の角度がホームランバッターそのものだ。横浜高校から入団して早9年。尻に火がついたようだ。

 思った以上に好調の西武は、4試合連続セーブを挙げた守護神・高橋朋己の存在が大きい。ボールの出どころが見にくいフォームで、打者にとってはタイミングがとりづらく、非常に打ちづらい投球スタイルだ。打者では森友哉。19歳とは思えないスイングスピードには目を奪われる。使い続けて欲しい選手だ。

 その他では、4勝3敗と好調のヤクルトを引っ張る山田哲人。28打数7安打2本塁打6打点.321と予想通りの活躍だ。彼には「2年目のジンクス」はあてはまらないだろう。

 同じく4勝3敗のDeNAは25打数8安打2本塁打の筒香嘉智がチームを引っ張っている。契約解除となった「グリエル・ショック」を感じさせない活躍だ。

 一方、センバツは敦賀気比の優勝で幕を閉じた。2打席連続満塁弾を放った松本哲幣は決勝でも勝ち越しホームランで一躍ヒーローとして扱われた。“ゾーン”に入ってきたボールをきちんととらえるあたり、高校生レベルとしてはいい素材だが、プロとしては目を見張るほどの存在ではない。

 一番目についたのは県岐阜商の高橋純平だった。ピッチングは実に上手で安定感を感じさせた。夏が楽しみな逸材だ。

愛甲猛(あいこうたけし)
横浜高校のエースとして1980年夏の甲子園優勝。同年ドラフト1位でロッテオリオンズ入団。88年から92年にかけてマークした535試合連続フルイニング出場はパ・リーグ記録。96年に中日ドラゴンズ移籍、代打の切り札として99年の優勝に貢献する。オールスターゲーム出場2回。
ピックアップ PR 
ランキング
総合
スポーツ