抗がん剤というのは100種類以上のものが認可されているという。しかし、どの薬がその患者のがんに適しているかを判断するのは、そう簡単ではない。あるていどは絞られるとしても、そこから先は、使ってみて、その効果を見てみないとわからないのだろう。
しかし、そのプロセスを改善する新しいデバイスを、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が開発した。
■ 患者の体内に実験室を埋め込む
開発されたのは、腫瘍に埋め込んで使うデバイスだ。米粒ほどのサイズながら、最大30種類の薬剤を搭載できる。それを腫瘍に投与し、効果を見ることで、その患者の腫瘍にどの抗がん剤が適しているのかをいち早く判断できるというものだ。
現在使われている抗がん剤の多くは、DNAにダメージを与えたり、細胞の機能を阻害したりする。最近は遺伝子変異を起こした腫瘍細胞に的を絞った薬剤も開発されているが、個々の患者にどの薬が効果的なのかを予想するのは難しい。
患者からがん細胞を採取して、それを培養し、どの薬が効果的か調べることもあるが、その場合でも腫瘍細胞を本来の環境とはちがう環境に置いてしまうことになるので、必ずしも正確な判断ができるわけではない。やはり患者の体内にある腫瘍がどう反応するかを見たほうがいい。
この手法は、実験室を患者の体内に設置するようなものです。安全だし、本来の環境の中で反応をテストすることができます
と研究者のひとりOliver Jonas氏は説明する。
このデバイスは、結晶構造の硬いポリマーでできている。生体組織検査用の針を使って、患者の腫瘍の部分に埋め込む。埋め込まれると、薬剤は腫瘍の内部に200~300ミクロンほどしみでるようになっているが、薬がお互いに重なりあうことはない。
どんなタイプの薬剤もこのデバイスの貯蔵スペースに入れることができる。