藤川球児が阪神タイガースのオファーを断った本当の理由

画像は高知ファインティングドッグス公式ホームページより

 テキサス・レンジャーズを戦力外となった藤川球児が、四国アイランドリーグ高知ファイティングドッグスと契約したと自身のブログで発表。注目を集めている。

 古巣阪神タイガースからは億単位でのオファーがあったとされる中、月給10万とも言われる四国アイランドリーグとの契約。その背景には何があっただろうか。

 藤川のメジャー通算成績は、3年で29試合投板、1勝1敗2セーブ、防御率は5.74。この数字を見る限り、メジャー挑戦は失敗に終わったと見て間違いない。1年目の2013年に右前腕を痛め、トミージョン手術をするなどアメリカでのキャリアの大半を故障者リストで終えてしまった。

 そんな藤川だが、阪神タイガースでのキャリアは562試合投板、42勝25敗、220セーブ、防御率1.77と驚異的な数字を残している。これは80年に及ぶ阪神タイガースの歴史において、最強のクローザーと呼ぶにふさわしい内容だ。当然ながらその人気は根強く、タイガース復帰報道が流れた時に歓喜したファンは数多くいた。

 しかし、藤川は日本プロ野球ではなく四国アイランドリーグを選んだ。自身が高知県出身ということもその理由の一つだろう。本人のブログには、

「生まれ故郷の高知で、未来のスーパースターになるチャンスを持った子供たちに僕が投げる姿を見てもらって今後の夢に繋げてもらいたい」

 と綴っている。

 強い郷土愛が見て取れるが、郷土愛だけで国内外のオファーを断り、独立リーグと契約。腑に落ちない野球ファンも少なくはないだろう。何らかの違う理由もあるのではないか。

火の玉ストレートはいまだ健在!

 まずは、肘の怪我。一部報道によれば、怪我の影響で連投が厳しくなってきているとの話もある。これはクローザーとしては致命的なことだ。そのため、タイガースは肘の怪我を考慮して先発としてオファーを出したとも言われている。クローザーとしてプライドを持つ男が、難色を示したのではないかとの見方もあるようだ。

 怪我の影響で全盛期のピッチングは厳しいとされているが、今シーズンの投板では147キロをマーク。マイナーでは150キロを投げていた事からみても、火の玉ストレートは健在と言っていい。故に、一旦独立リーグで契約し、実戦の勘と怪我の回復を図り、翌年万全の状態でNPBからのオファーを待つのではないだろうか。

 藤川が所属することになった四国アイランドリーグplusは、2005年の発足から41人の選手がドラフト指名されている。首位打者を獲得したこともあるロッテ・角中勝也をはじめ、中日ドラゴンズの又吉克樹など、NPBで活躍する選手も少なくない。

 また、同じ独立リーグBCリーグでは、かつての名選手、メジャーリーガー等が活躍し密かな盛り上がりをみせている。この状況で藤川加入となれば、四国リーグも盛り上がることは必至。藤川だけではなく、独立リーグからプロのスター候補を見つけるのもまた違った楽しみではないだろうか。

(取材・文/井上智博)

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