直撃取材!「ビール売り子」の知られざるオキテ(前編)

この1杯のビールが売られる裏側には、知られざるオキテとバトルが!?

 飲料業界の鉄則として、気温28度を超えるとビールの売り上げがグンと伸びるというものがある。ということで今年もビールの季節がやってきた!

 野球を見ながらの1杯、特に仕事終わりの球場での1杯は五臓六腑に染み渡る格別の味だ。そんな球場でのビールといえば、かわいい売り子のお姉さんたち! 豆粒大のチアガールとは違い、すぐ近くまでやってくる売り子はまさに球場に華を添える存在といえるだろう。

 女性には白い目で見られるかもしれないが、男同士で観戦に訪れた際には、「あの子かわいい!」なんて言いながら、銘柄度外視で売り子を呼びつけるもの。近くの客が売り子と仲良くおしゃべりしようものなら、あるはずもない嫉妬に燃えるものなのだ。

 なんとか彼女たちに気に入ってもらえる方法はないだろうか……。

 そんなヨコシマな男性たちのために今回、某球場で売り子のバイトをしている女子大生・Mさんに都内の居酒屋で話を聞いた!

売り子に課せられた「鉄のオキテ」

 ショートカットの黒髪に、薄っすら浮かぶ初々しいそばかすのMさん。某球場で売り子のバイトを初めて2年になるという。

「これ、記事になるんですか?」

 と、目を丸くするのにはワケがある。

 実はこの球場の売り子は、他球場に比べて非常に厳しい規律がある。過度の茶髪禁止、ネイル禁止は当然。果てにはツインテール禁止まで(なぜ?)、多岐に渡る禁止事項で彼女たちは縛られている。当然、無断で取材を受けることもNG。最近ではユーチューバーに取材を受けて、厳重処分を課せられた子もいるという。

 そういうわけで今回、ご尊顔をネット上に公開することはできず……。持っていった重いカメラは用無しとなった。

 しかし、そんな鉄のオキテのおかげで彼女たちは球界きっての高いレベルを維持。素人目に見ても他球場より垢抜けているのは一目瞭然。

各社で色分けされた売り子のタイプ

 Mさんによると、メーカー各社で採用する女の子にはタイプがあるという。この球場で売り子を出しているのは、アサヒ、キリン、サントリー(モルツ)、サッポロ(エビス)の4社。各社の採用傾向は以下の通りだ。

  • アサヒ:元気系で声が大きい
  • キリン:アイドル系
  • サントリー(モルツ):キレイ系
  • サッポロ(エビス):地味美人系+ポッチャリ系

 言われてみると、「あ~!」と声に出る納得度。この取材後にほかの球場でも観察したが、確かにピタリと当てはまった。

 「Mちゃんも確かに○○系だね」

 と言うと、Mさんは「そうですか~?」と売り子特有の上目遣いで八重歯を見せて笑った。

修羅場と化す、売り子更衣室

 女ばかりが集うところに波乱あり……。徳川二代将軍・秀忠が江戸城御殿を、政治を行う「表」と私生活を行う「大奥」に分け、大奥が女たちの修羅場と課したように、売り子界にも「大奥」がある。

 それが更衣室である。

 売り子たちがあのダサカワイイ制服に着替える更衣室で、事件は起きているという。

「上の人間の目が届かないところですから、各社の売り子が群れになって、悪口を言い合うこともあります」

 と、Mさん。名前も知らない他社の売り子でも、態度が気に入らない、アイドルぶってんじゃねえなど、心の奥には男顔負けの闘志がみなぎっているらしい。

「この前は○○(社名)の子がいじめられていました。『○○の子ってみんな性格よさそうだよね! 約1名を除いて!』って、遠巻きにこれ見よがしに言われて……」

 最近では悪口合戦も少なくなってきたようだが、過去にはつかみ合いのキャットファイトを目撃したこともあるという。

「特に○○(社名)の子は評判悪いですね」

 Mさんは、媚びた笑顔を浮かべた顔の横でグラスを小刻みに振った。確かに見覚えのある売り子ポーズだった。

「ぶりっ子というかなんというか……、社の方針なのかも知れないですけど、他の3社の売り子からは断トツで嫌われています」

 そういうとMさんは嫌なことを思い出したかのようにドリンクを一気に飲み干し、「生」を追加オーダーした。

──来週の「後編」をお楽しみに。

(文=落合初春)

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