各種メディアで報道されているように東京・新宿歌舞伎町の「ぼったくり」が盛んになっている。今のぼったくりの状況は異常である。悪質なポン引きキャッチは誰彼構わずに声をかけ、交番の前でも引かないほどの開き直りを見せている。
では、なぜこの様にぼったくりが横行するようになったのか？ 一部では「東京オリンピックまで稼げるだけ稼ごうとするつもりだから」という説が語られているが、残念ながらこれは全くの的外れである。現在の歌舞伎町の惨状は、ある面では関東と関西の「盃外交」に端を発しているのだ。
昨今、締め付けが厳しくなるにつれ、反社会勢力は抗争を最小限に抑えるため、積極的に盃外交を進めている。事実、数ヶ月前に警視庁が、関東と関西の大きな直接的な盃を威信を掛けて潰すという一件が起きている。そんな動きもあってか反社会的勢力の面々は「直接的な盃」ではなく、「間接的な盃」を交わしながら、利害関係が複雑に絡み合った盃外交を進めているのが現実である。時代的に抗争をしても取り締りが厳しくなるだけで、金もかかり得をする話ではない。
こんな裏社会の勢力図がぼったくりに影響を及ぼしている。ぼったくりは日本全国で流行っているわけではない。現在、ぼったくりが横行しているのは日本全国で歌舞伎町だけなのだ。察しの良い読者には気付かれている方もいるだろうが、この盃外交には歌舞伎町の、裏社会の一大勢力が絡んでいる。そのためにこの街では無理な事がいろいろと起こっているのだ。従って歌舞伎町のぼったくりは悪質だ。それでいて腹をくくっている。ひじょうにタチが悪いのだ。読者におかれては気を付けて頂きたい。
Written by 西郷正興