さる6月、俳優・榎木孝明(59)が30日間の断食を終え、それを「不食」と呼んだことが注目された。不食とは文字通り食べないことなのだが、これには段階がある。
肉をやめ、野菜を中心とした食事をするのがベジタリアン。卵や乳製品、魚などは食べても問題ない。徹底して野菜だけを食べるのがビーガン。野菜どころか果物や木の実しか食べないのがフルータリアン。スープやジュースなどの液体しかとらないのがリキッダリアン。水以外、一切の食事をやめるのがブレサリアン。ブレース=呼吸だけで生きる人という意味だ。究極のブレサリアンは水すらもとらないという。このブレサリアンを指して、不食者と呼ぶ。
インドのシュリ・ヒラ・ラタン・マネクは1995年以来、なにも食べていないとされる。その真偽を巡り、インドでマネクの断食実験が行われた。インド医療協会の医師21名が管理する中で、2000年に411日間の断食に成功、さらに2001年にはNASAがアメリカに招聘し130日間の断食を確認している。マネクは朝起きると太陽を1時間程度凝視し、エネルギーを補充するのだという。太陽光が彼にとっての食事なのだ。
ブレサリアンとまでは行かなくても、非常な低栄養状態で元気に暮らしている人は多い。一般成人の最低摂取カロリーは1日1000~1500kcalと言われるが、彼らはその数分の1の1日数百kcalでも平気だ。アンチエイジングで有名な医師の南雲吉則氏は、1日1食、平均して500kcal程度しか摂取していないが健康だ。人間の代謝が栄養学の常識よりも、はるかに飢餓に強いことはわかっている。そうでなければ食料の少ない古代において、人類は全滅していただろう。だから極端な減食でも人は健康に生きていけるのだ。しかしそれとブレサリアンはまったく別物である。
食べずに生きるには、食物以外のルートでエネルギーを補充するしかない。マネクのいう太陽光がそれだ。植物はほとんど動かないから光合成で生きていける。だが人間のように動き回る生き物が光合成で生きていけるわけがないし、当たり前だが、光合成を行う器官を人間は持っていない。
食事をしないで生きる……不食は科学的に検証できるのか?
2015.07.31 07:00
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