海洋汚染は深刻な問題であり続けているが、これには人的なものと自然環境の変化によるものがある。
この内、人的な海洋汚染については、戦争や座礁による原油流出や、生活排水による有機物による汚染などが有るが、かなりやっかいなものに、産業による水銀などの有害な重金属による汚染がある。
これをなんとかできないものかと考えていた科学者が、自然界のある物の性質に気が付いた。
珊瑚である。これにピンときた。珊瑚が重金属を吸収してしまう性質に注目したのだ。中国の安徽建筑大学(Anhui Jianzhu University)の研究者らは、海洋から汚染物質を除去する新たな素材を提案できることを発表した。
■ 重金属汚染に弱い珊瑚に注目
海洋を汚染している重金属には、水銀、鉛、ヒ素などがある。これらが産業の過程から海に排出されているのだ。そしてこれらの重金属は食物連鎖によって濃度が圧縮され、最終的には我々の口に入る可能性もある。
ところで、これらの重金属による汚染に弱い存在があった。珊瑚である。珊瑚はわずかな重金属汚染でも簡単にダメージを受けていた。それは、珊瑚が重金属を吸収しやすい性質を持っているからだった。そのことにインスピレーションを得た研究者達は、珊瑚を模倣した素材を作れば、海洋を汚染している重金属を除去できるのでは無いかと考える。
そこで研究者等は、水から水銀を除去するために、酸化アルミニウムで珊瑚を模したナノ構造体を作ってみることにした。酸化アルミニウムは以前から汚染物質の除去に試されることはあったが、あまり上手くいっていなかったのだ。
しかし珊瑚を模したナノ構造にしたところ、珊瑚と同様の作用を示したではないか。
■ 自然界をヒントに新しい技術を生み出す
研究者によれば、水から汚染物質を取り除く簡単な方法は吸着だという。そのため、吸着作用のある素材開発が海洋汚染の改善のための課題になる。
従って、珊瑚を模した素材がどのように汚染物質を吸着するかを研究することが重要になってくるとしている。
実際、研究者等が珊瑚を模したナノ構造体を試してみると、従来の酸化アルミニウムの2.5倍程度多くの水銀が除去されることが分かった。
自然界にヒントを見つける事が、新しい技術へのインスピレーションを得るのだと研究者は言う。本物の珊瑚が滅びる前に、人工の珊瑚が活躍して海洋汚染を少しでも改善させる日が来るのだろうか。