失敗だと思ったら成功しちゃった発明の話 10選
「失敗は成功の母!」なんていわれます。試行錯誤の果てに「あれっ!?」と思うような偶然の発見をしたり、思わぬ失敗が成功につながったという話はたくさんあります。今回は、そのような事例をご紹介します。
●バイアグラ
ED治療薬として有名な『バイアグラ』はファイザー製薬で開発された薬です。しかし、元々は「狭心症」の治療薬として開発が進められていたのです。血管を弛緩(しかん)させて、血流を良くする効果を狙っていたのです。
ところが、いろいろと治験を重ねてみると、陰茎、またその周辺の血管によく効くことが判明します。「それならもうそれでいいじゃん!」と言ったかどうかは不明ですが、結局ED治療薬『バイアグラ』が誕生しました。
●清酒
これは、酒所として有名な大阪府「伊丹」に伝わる伝説です。400年以上前に、ある伊丹の造り酒屋に解雇された従業員が、その腹いせにその店の酒の酒桶(さかおけ)に灰を放り込むという嫌がらせをしました。酒屋は「困ったことしやがって」と頭を抱えます。
ところが翌朝、その酒桶をのぞいてみると、灰汁(あく)の効用で酒はきれいに透明になっていました。それまではにごり酒しかなかったのですが、「これはいい!」ということで清酒は伊丹の名産になりました。
●ダイナマイト
アルフレッド・ノーベルが発明した「ダイナマイト」もある失敗から生まれました。ニトログリセリンは不安定ですぐ爆発する液体で、これを安定的に扱う方法を考えなければなりませんでした。ある日、ニトログリセリンを保管する容器が壊れ、ニトログリセリンが漏れてしまっていました。
大変に危ない状況ですが、容器の周りのケイ藻土にニトログリセリンが染み込み、混ざっていることを発見します。ここからニトログリセリンを安定的に扱う方法が見い出され、これがダイナマイトの発明につながったのです。
●コカ・コーラ
コカ・コーラの誕生も、コカ・コーラの父、ジョン・ペンバートンの失敗から生まれました。時は折しもアメリカの禁酒法時代。薬剤師、化学者であったジョンはお酒の代わりになる代用飲料、そしてモルヒネやアヘン中毒の治療にも使える「薬」を開発しようとしたのです。
しかし、出来上がったレシピに冷たい水を入れてみよう → 炭酸水を入れてみよう、とやってみたところ「うまいじゃん!」となりました。「薬用飲料の開発」と始めた試行錯誤は失敗しましたが、今や世界中で愛飲されている『コカ・コーラ』が誕生したのです。
●トランジスタ
「トランジスタ」は20世紀最大の発明、なんていわれたりますが、これも失敗から生まれたのです。ベル研究所で半導体の研究を進めていたのは、ウィリアム・ブラッドフォード・ショックレーという人物で、彼は理論的リーダーだったのですが、彼の研究だけではブレークスルーは訪れませんでした。
しかし、ジョン・バーディーンとウォルター・ブラッテンという二人が風穴を開けます。実験を繰り返す中で、実験工作の不備があり(絶縁用の酸化膜が不十分だった)、この失敗が偶然にも世界初の「点接触型トランジスタ」の発明につながったのです。ショックレー、バーディーン、ブラッテンの3人は、1956年にノーベル賞を受賞しています。
●コーンフレーク
「ケロッグの朝ごはん!♪」というCMは誰でも知っているでしょう。この「シリアル」ももともと偶然に生まれたものなのです。ウィル・キース・ケロッグには、医学博士の兄がいました。彼は、このお兄さんの下で患者さん用の食事担当をしていました。
ある日、パン生地をほったらかして外出してしまいます。帰ってきてみると、パン生地はぐずぐずのフレークになっていました。これは困ったなんとかしなきゃと焼いてみると、フレークがパリパリのいい感じに(笑)。患者さんに食べてもらうとなかなか好評! ケロッグ兄弟はコーンフレークの製造会社を立ち上げました。
●万年筆
現在の万年筆は「毛細管現象」を利用して文字を書きます。サインペンなども同様ですが、この毛細管現象を利用した万年筆を世界で最初に作ったのは、ルイス・エドソン・ウォーターマンという人です。ウォーターマンはニューヨークで保険外交員をしていました。
ある日、大口契約を取ったウォーターマンが契約書にサインをしようとすると、ペンからインクが漏れて契約書が台無しに! 慌てたウォーターマンが契約書を再度作り、顧客を訪問してみると、ライバル社が契約を取り付けた後でした。
怒り心頭のウォーターマンは「インク切れのいいペンを作ってやらぁ!」と言ったかどうか分かりませんが、一念発起し、ついには毛細管現象を利用した万年筆を作り上げたのです(1883年に発売)。大失敗の経験が後世に残る発明品を生んだという例です。
●ゴム(加硫法の発明)
ゴムは19世紀初頭から素材として広く利用されていました。しかし、ゴムは温度変化の激しい素材で、ゴムを使った製品の評判は決して良くありませんでした。アメリカの発明家チャールズ・グッドイヤーは、この「夏の暑さに溶け、冬はカチンコチン」になるゴムをなんとかできないかと試行錯誤を続けました。
ゴムにいろいろな試料を混ぜて実験を続けていたグッドイヤーは、ある日、硫黄を混ぜたゴムをストーブに接触させてしまいます。すると、ゴムは溶けませんでした。グッドイヤーはこの失敗から硫黄を混ぜたゴムが耐熱性を持つことを見い出したのです。研究を続けたグッドイヤーは1844年に加硫ゴムの特許を取得しました。
●グレンアルコール木崎
この『グレンアルコール木崎』は失敗から生まれたウイスキーの銘柄で、お酒の大好きな人間にとっては伝説の1本です。現在は焼酎などで有名な宝酒造がかつて、キリン、サッポロ、アサヒの先発3社にビールで勝負を挑んだことがありました。
大いなる挑戦でしたが、1957年に登場した『タカラビール』は残念ながらあまり売れませんでした。大量の在庫ができてしまいましたが、これを蒸留し直して新しいお酒、ウイスキーを生み出したのです。これが『グレンアルコール木崎』です。
この蒸留し直しで新しいお酒を造る許可は、酒税を取りっぱぐれないようにと国税庁と大蔵省の意向が働いたなんていわれていますが……。しかし、『グレンアルコール木崎』は今も「あれはうまかった」と語り継がれてるとか。これも失敗から生まれた成功の一つではないでしょうか。
●ブランデー
これはブランデーにまつわる伝説です。14世紀のフランスにアーノルド・ヴィルスーブという錬金術師がいました。このアーノルドは医者であり、占星術師でもありました。ちっとも金が生成できないので、ある日、白ワインをあおって寝てしまいます。
眠る前に、彼は白ワインをフラスコに入れて熱していました。「しまった!」とアーノルドが起きてみると、フラスコには蒸留されたブランデーができていたというのです。どうもお酒にまつわる「失敗が成功に!」という話が多いようです。お酒だけに失敗がつきもの、といったところでしょうか(すみません)。
(高橋モータース@dcp)