戦後70年 反戦を貫いた孤高の男の生涯 (2/2ページ)

新刊JP



――本書を書いたり、映画を製作するにあたって、高岡さんの関係者の方々に取材をされたのではないかと思いますが、そういった活動を通してどんなことがわかってきましたか?

高橋:実は高岡正明さんの活動については遺族の方でも知らないことが多かった。仕事上の関係者の人々に聞いても、高岡さんの人生には、ある種の空白の期間というか謎のまま埋まらない部分が少なくない。彼は生まれてから亡くなるまで愛媛県の山間部に住み続けて、家族親戚に囲まれていたのと同時に、孤高の信念で自分だけの世界にも生きていた。それも「自分のため」にではなく。彼が自分の罪だと背負ったものを人に分かち合ってもらおうとは考えもしなかった。だから誰も知らない彼だけの空白の時間が生まれたんだろうと思います。

――映画『陽光桜-YOKO THE CHERRY BLOSSOM-』の方も完成したそうですね。この映画の見どころを教えていただければと思います。

高橋:戦争にまつわる実話の映画化では、重苦しいトーンが漂うドラマになりがちです。でも私は高岡正明さんの明るさを前面に出すことで、彼の内面にある信念を大げさではないかたちで描きたかった。だから、映画の前半はまるで家族コメディのような軽妙さです。そして後半から、彼がなぜ桜作りに生涯を掛けたのかという本当の意味と重さが「発見」されていくという構成です。主人公でもある高岡さんが亡くなった後にも驚きの実話が掘り起こされていくというストーリーは事実に基づいているのですが、エンターテインメントとして子供からお年寄りまで広く観てもらえる映画になっていると思います。

――今年は戦後70年の節目の年です。この本や映画を通じてどんなことを伝えたいとお考えですか?

高橋:「罪」とは何か? 私は今回のプロジェクトを通じて高岡正明さんに、ずっとそう問われていたようにも感じます。罪とは刑法上の犯罪のことだけではない、人間としての罪です。究極は戦争ですが、今の私たちの社会にも、表向きを虚飾で隠した「罪」がいくらでもあるのではないか。「戦後70年」というフレーズも、世の中的に伝えやすくなるから使って、71年目には忘れているというのでは無責任です。だから、この物語を本や映画として残す試みは、作者の私自身にとっても、読者や映画の観客の皆さんにとっても、「高岡正明という日本人を忘れない」、そして「平和を願う気持ちを持ち続ける」という意味があると思っています。

――最後になりますが、本書の読者の方々にメッセージをお願いできればと思います。

高橋:これは過去の物語ではなく、今も続いている物語なのです。高岡正明さんが創造した陽光桜は、世界中に植えられています。本書をきっかけに陽光桜を実際に見て頂いて、読者の皆さんそれぞれの人生に新たな発見をして頂ければ光栄です。
(新刊JP編集部)
「戦後70年 反戦を貫いた孤高の男の生涯」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る