抗菌グッズは本当に清潔で安全か?「殺菌」や「除菌」との違いは?
あなたは吊革を抵抗なく握ることができますか? 抗菌処理された吊革だったらOK?
日本人はとても清潔志向が高いと言われています。その証拠に、吊革はもとより、文房具や日用品をはじめ、私達の身のまわりはいろんな抗菌グッズであふれ返っています。
しかし、これでバイ菌から身を守ることができていると思っていたら大間違い。
じつは「抗菌」とは、細菌に対して効果があるということで、カビは適用外だったのです!
菌に関する用語には他に、「滅菌」「消毒」「殺菌」「除菌」「静菌」などがありますが、どこがどう違うのかここでちょっと整理しておきましょう。
●滅菌――そのものに存在するすべての微生物、ウイルスを死滅させるか除去すること ●消毒――病原性微生物を殺して感染性を失くすこと ●殺菌――微生物を殺すこと ●除菌――微生物を取り除いて減らすこと ●静菌――微生物の増殖を抑えること
言葉のイメージからは「殺菌」のほうが「滅菌」よりパワフルな感じがしませんか?しかし、滅菌は菌をすべて殺すのに対し、殺菌は殺傷数の程度は問わなかったのです。
また、「消毒」は害が無くなるまで菌を殺すのに対し、「除菌」は害があっても菌を(ちょっとでも)減らすことができればOKというレベルだったのです。
「抗菌」とは、これらの言葉のどの意味も含んだ広い範囲の、じつははっきりとした定義がない言葉だったのです。強いて言えば、菌を増えづらくする「精菌」よりは強力で、「殺菌」(死滅させる)よりは弱い働きといったところでしょうか。
そもそもの定義があやふやなせいもあり、現在流通している抗菌グッズの有効性もまた一概には説くことができません。
ある一定の基準を満たしていて半永久的に効果が続くという信頼性の高いお墨付き商品もあれば、そうではないものもあるなどピンキリ状態なのです。いずれも、菌は付着しにくくなるものの表面に汚れがあると効果が出ないということもあります。
やっぱり吊革は握らないに限る!
そう思った人もいるかもしれません。しかし、プラスチック製のものにはもともと菌は繁殖しないので、それほど心配する必要ありません。
ただ、汗ばんだ人が握った吊革を直後に握った場合などは菌をもらってしまう可能性がないとも限りません。水分とともに菌が移ることがあるからです。
しかし、菌に過剰に反応するのは考えものです。というのも、人の体はいろんな微生物とともに共生することで感染防御や免疫系が活性化されるからです。
いきすぎた抗菌崇拝は避け、「外から帰ったら手洗いうがい習慣」程度の心持でいたほうがよさそうです。
※参考:『よくわかる細菌と感染のはなし』(滝龍雄・著/日本実業出版社)