明治大学教授・斎藤孝「世阿弥やニーチェと話してみたいと思いませんか?」~読書で鍛えた人間力 (2/2ページ)
ただ、本を読むとなると、何かと億劫になってしまう人も多いでしょう。お仕事にされている方は時間的制約が大きいだろうし、本を読むのが苦手という人もいるかと思います。
そんな方に向けて書いたのが、『本をサクサク読む技術』(中公新書ラクレ刊)です。
まず、知ってもらいたいのは、本は最後まで読む必要はないということ。せっかく買ったのだから、最初から最後まで読み切らなきゃいけないという一種の脅迫観念のようなものがあると思うんですが、飛ばし読みをしてもいいんだと思うことが大事。自分が面白いと感じる部分は何度でも読んで、その他の部分は軽く読み流す。そういうギアチェンジができるようになれば、本はサクサク読めるようになります。
僕は、定職についたのは、30歳のときでした。研究者の道に進もうと決めましたが、研究の世界ではなかなかお金がもらえない。世の中に対して、なぜ自分の考えが理解してもらえないのかと、攻撃的な気持ちを持っていた時期がありました。
でも、そんな時でも本を読み続けていました。40代になって、『声に出して読みたい日本語』が、ありがたいことに多くの人に読んでもらうことができてから、執筆の依頼がたくさん来るようになりました。
その1作だけで終わらなかったのは、20代、30代の時期も、読書をしていろいろな物をためこんでいたからだと思います。だから、結果としてみれば、その世間に認められない期間があったのは、いいことだったのかもしれません。
みなさんも本を読んで、精神の糧にしてみませんか。
撮影/弦巻 勝
斎藤孝 さいとう・たかし
1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程等を経て、現在は明治大学文学部教授。01年に出版された『声に出して読みたい日本語』(草思社刊)が、シリーズ260万部を超える大ベストセラーとなり、一躍脚光を浴びる。その他にも数々の著作を世に送り出し、著書の累計発行部数は1000万部を超える。執筆活動のほかにも、情報番組のMCを務めるなど、マルチに活躍している。