ポイントは原価?大富豪に共通する「支払いスタイル」が明らかに
『執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学』(新井直之著、幻冬舎)の著者は、「大富豪」への執事サービスを提供しているという「日本バトラー&コンシェルジュ」代表取締役。
ニッチな業種ではありますが、その仕事の性格上、多くの大富豪と日常的に接しているのだといいます。つまり本書では、そこから見えてきた大富豪のお金の使い方が明らかにされているのです。
■「お金持ちはケチ」なんてウソ?
買い物をしたり飲食店を利用したりする際、商品の原価を気にすることはあまりないはず。
ところが大富豪は、お店を利用するたび、それぞれの商品の原価を試算してしまうものなのだと著者はいいます。
つまり、その価格で買う手間までを計算に入れ、きちんと納得してから代金を払う。それが大富豪ならではのスタイルだということ。
「お金持ちはケチ」などと揶揄されることがありますが、そんなに単純な話ではないのだとか。コストを周到に見極める意識が高く、お金を払う前にじっくりと考えることを怠らないということなのだというわけです。
■大富豪が原価にこだわる理由
事実、著者の会社の執事サービスを利用する顧客も、原価を気にする方ばかりなのだといいます。
彼らの多くは、原価について疑問を感じたら、聞きづらいことでも単刀直入に質問してくるもの。しかしそれも、「財布の紐を緩めるのは、値段に納得してから」という考え方があるから。
また、「これの原価はおそらく100万円くらいのはず。なのに、なぜ1,980万円でも売れるのか。自分のビジネスにも取り入れられないだろうか」という発想も持つそうです。
なぜなら原価を知るということは、価格の裏側にある事情を知るということだから。
■手間隙かけられていればOK
しかしその一方、私たちには手が届かない高額な商品であっても、それが手間隙かけてつくられたものであれば、あっさり購入を決めてしまうのも大富豪の特徴だと著者は指摘しています。
たとえば1杯5,000円もするようなコーヒーでも、とても希少な豆を使っていて、それを手間隙かけて焙煎し、専用の機器を用いて一流のバリスタが1杯ずつていねいにドリップし、もちろん味も香りも格別だということであれば、喜んでお金を払うというのです。
もし仮に、それほど原価がかかっていないと判断したとしても、手間や技術、時間、サービスなどに価値を見出すことができれば、納得して購入するということ。
■自分の価値観を持っている!
でも大胆なように見えて、この「価値を見出すことができれば」という部分には重要な鍵がある気がします。それは、自分の価値観をしっかりと持っているということであるはずだから。
だからこそ、大富豪のように原価と差額に注目し、「自分はどんな価値にお金を支払うか」ということを意識していれば、つまらないものにお金を使って後悔することもなくなるはず。
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違う世界に生きる人たちのようにも見えますが、実際には大富豪の大半が「ごく普通の人」なのだといいます。つまり、本書から彼らとの共通点を見つけることができれば、大富豪になることは決して夢ではないのかも。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※新井直之(2015)『執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学』幻冬舎