合戦で日本刀はほとんど使われなかったって本当?
時代劇の見せ場である「チャンバラ」。合戦シーンではいたるところで一騎打ちが描かれているが、実際は、刀はほとんど使われていなかったのはご存じだろうか?
合戦での主力兵器は鉄砲や投石といった「飛び道具」で、堂々と名乗るどころか、誰が相手たかもわからないまま決着がつくのがほとんどだった。近接戦では槍(やり)が一般的で、これも「突き」ではなく上から叩くのが常識。これらの武器が尽きると刀の出番となるが、鎧(よろい)を貫くほどの攻撃力はなく、最後の護身用として使われていたのだ。
■戦国時代に「石投げ合戦」?
戦国時代の合戦を描いたドラマでは、
・相手に名乗る
・刀で一騎打ち
なんて礼儀正しいシーンが見られるが、これがいきなり始まるわけでもなく、全体からみれば極めてまれな光景である。まずはリスクの少ない長距離戦が当たり前で、「石を投げつける」という子どものケンカのような攻撃、鉄砲、矢などの「飛び道具」を使った無差別攻撃が標準的だった。
ご存じのように当時の火縄銃(ひなわじゅう)は、現代のようなカートリッジ式の銃弾ではなく、火薬と弾を別々に補充する仕組みだった。そのため1発打ち終わると銃身から火薬、弾の順に詰め、再度敵に狙いを合わせて、と、まどろっこしい。やがては複数の銃身を持つ三連筒/六連筒も登場するが、補給にテマがかかるのは変わりがない。現代のように主力兵器にならなかったのもこのためだ。
飛び道具の次に登場するのは槍(やり)だ。現代では「突く」武器として認識されているが、振り回して上から「叩く」のが正しい使い方。長さにものを言わせて「超・長い刀」として使っていたのだ。
槍の種類と、おおよその長さをあげると、
・手突(てづき)槍 … 60〜90センチ
・枕(まくら)槍 … 1.2〜1.5メートル
・手(て)槍 … 1.8〜2.7メートル
戦国時代の「槍組」は3.6〜4.5メートルもの長い槍を使用していたというから、水平に持って「突く」のはほぼ不可能である。対して、上から振り下ろし相手を「殴る」ように使うと、穂(ほ)と呼ばれる先端の刃には遠心力と角速度で強烈な破壊力が与えられる。低コストで作れることも相まって、槍こそが合戦の主力兵器だったのだ。
■「刀で一騎打ち」では引き分け続出?
時代劇=日本刀のイメージに反し、合戦ではあまり活躍していない。矢も槍も失ったあとの近接戦限定で、攻撃よりも護身用と呼ぶべき存在だったからだ。
鎧兜(よろいかぶと)を装着したものは具足(ぐそく)武者と呼ばれ、胴はもちろんのこと、
・兜(かぶと) … 頭
・錣(しころ) … 首、肩
・臑当(すねあて) … すね
で全身が守られ、これらを刀で切る/刺すのはほぼ不可能。すきまを狙って攻撃するのが精いっぱいだったため、リスクを冒してまで「刀で一騎打ち」を望む理由がなかったのだ。
映画やドラマでは、立派な鎧兜に身を守られたもの同士の一騎打ちシーンがあるが、武器が尽きたあとの「延長戦」でない限り、実現する可能性は極めて低い。合戦では、刀よりも石のほうが実用的と知ると、ちょっとがっかりな気分になる。
■まとめ
・戦国時代の合戦では「石を投げつける」原始的な攻撃がおこなわれていた
・脅威だったのは、鉄砲や矢などの「飛び道具」
・槍は「突く」のではなく、上から「叩く」武器
・鎧(よろい)や兜(かぶと)には、刀は効果的ではなかった…