感涙の”名セリフ&名シーン”50年秘史!「日本沈没・藤岡弘、」 (2/2ページ)
これに小野寺は受話器に向かって絶叫する。
藤岡にとっても、50年の俳優生活でベストワンの名セリフだけに、インタビュー中に身を乗り出して再現してくれた。
〈逃げろ! 歩いてでも這ってでも小田原へ!〉
映画自体はタイトルが示すように、日本が未曾有の危機を迎えるパニック描写が主題。そこに小野寺と玲子の“究極の愛”が深みを与えている。
噴火に巻き込まれた人々は富士山から遠い方向へ歩き続けるが、小野寺は玲子を探すため、噴煙の中へと逆走する。
〈俺には探さなきゃいけない人がいる。その人を見つけ出すまで俺は日本から離れんぞ!〉
2人が劇中で再会することはなかったものの、藤岡は映画の余韻を大きく変えたと確信する。
「小野寺と玲子は、沈没後の日本にとっての『アダムとイブ』だったと思う。日本が沈んで、1億人が海外でバラバラになりながら、クレジットされた『地球のどこかで‥‥』という希望を残した」
藤岡自身が役者としての真摯な生き方をまったく変えていないのも、27歳で出会った傑作があればこそである。