同じことを3年やってちゃダメ!一般常識を覆すリクルートの口癖
『「どこでも通用する人」に変わるリクルートの口ぐせ』(リクルート卒業生有志著、KADOKAWA)は、リクルート出身者たちが、同社で飛び交っていた独特の口ぐせを紹介したユニークな書籍です。
リクルートという企業の特色として思い出浮かぶのは、多くの “卒業生”がさまざまな業界で活躍しているということ。
だからこそ、「人材輩出企業」などと言われたりもしているわけです。つまりここで紹介されている「口ぐせ」を応用することができれば、それがステップアップの足がかりになる可能性があるわけです。
そこで本書のなかから、「数字にまつわる口ぐせ」をご紹介してみることにしましょう。
■1:「この3カ月で、どれだけ成長したの?」
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
これはリクルート創業者の江副浩正氏が社長だったころの社訓であると同時に、リクルートのスピリットを凝縮したものだそうです。
端的にいえば、「自主的に動いて成長を目指せ」ということになるかもしれません。
事実、ここで紹介されているスタッフも新人時代、複数の人から次のように言われ続けたのだといいます。
「この3カ月で、なんの機会をつくった? どれだけ成長した?」
飲み会の席でそう聞かれ、「いやぁ、新人の自分は、まだそんなこと答えるには早いですよ」などと答えようものなら、先輩に「ばか野郎!」と怒られるのだとか。
つまり、新人であろうが常に成長していかないといけない。そして機会は与えられるものではなく、自らつくり出すものだということです。
■2:「小さな黒字より、社会への影響力!」
どんな事業でも、黒字で利益を出すというのが普通の考え方。だから当然のことながら、赤字を喜ぶ経営者や社員などいません。ところがリクルートでは、「健全な赤字」という言葉が使われていたのだそうです。
たとえば同社が生み出した雑誌『エイビーロード』や『カーセンサー』は、創刊後しばらくは赤字が続いていたのだといいます。
しかし、この場合の赤字は後ろ向きなものではなく、むしろ前向きなものだったというのです。
なぜなら当時、旅行にしても中古車にしても、それまでユーザーが個別に集めていた情報を1冊にまとめて「くらべて選べる」ようにした全国規模の媒体はなかったから。
それに、「健全な赤字」が必要な理由は、どんな事業も必ず変遷していくという前提があるからだといいます。社会の変動に対処できるように、違う領域に自ら行動していかないといけないということ。
「これまでにないもの」をつくるためには、赤字に耐えることも含めてエネルギーがかかるもの。しかし、それをあえてやるのがリクルートという組織だというわけです。
赤字という言葉は、人をネガティブな気持ちにするもの。しかし、そこに変革への想いが込められ、みんなでそれを共有できれば、勇気をもたらす原動力になるということ。
事実、「小さな黒字より社会への影響力」という思いをもとに行動したある部門は、そののちリクルートの稼ぎ頭になったといいます。
新しいことにチャレンジするときは、目先のことは気にしなくていいという考え方の好例だといえるのではないでしょうか?
■3:「同じことを3年やっていてはダメ。」
同じことを変わらず、ずっとやり続ける。
常に新しいことをやるために、返歌し続ける。
どちらも大切なことではありますが、リクルートの価値観は圧倒的に後者にあったのだといいます。
でも、新しいことをやるというのは、正解がないなかでの仕事になるということでもあるでしょう。
なのになぜ、リクルートは常に新しいことに取り組めるのでしょうか? それを嫌だと考えないのはなぜなのでしょうか?
ここで重要なのは、同じようなことをしていても進歩は望めないということ。
事実、社内では「同じことを3年やってちゃダメだ」としょっちゅう言われるのだそうです。
そしてそのために意識しておくべきことは、「会社が仕事の中身まで全て用意するのではなく、あくまで基本は、自ら手を挙げて仕事をつくる」ということ。
仕事を待っていても仕方がないので、自分からせっせと社内営業をするのは当たり前のことだというわけです。
事実、スタッフが自分のために考えついて始めた小さな仕事が、のちに立派な事業になることも珍しくないのだとか。
自分の仕事の幅は、常に新しいことにチャレンジし続けることで広がっていくもの。だから、同じことを3年やっていてはダメだという考え方です。
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一般的な企業では考えられないようなことも含め、他にもリクルートならではの流儀がぎっしり。日常的に言葉に置き換えられていたというそれらは、他の多くの企業にも多くのヒントを与えてくれそうです。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※リクルート卒業生有志(2015)『「どこでも通用する人」に変わるリクルートの口ぐせ』KADOKAWA