【非情な法律】貸したCDを売られちゃったら取り返せないってほんと?

学生の窓口

友達同士でよくある物の「貸し借り」。パーティに行くからバッグを貸して!なんて話も耳にしますが、大事なものを貸したら「売られてしまった」場合、取り戻せないのはご存じでしょうか?

たとえ無断でも、知人が「あなたのもの」を売ってしまうと、代金を払った瞬間に「第三者のもの」になるので、あなたに返還する義務はありません。どうしても返してもらいたいときは「買い戻す」しか道はありませんが、オークションなどに出品されると追跡はほぼムリ…絶版のCDなど「お宝級」を貸して!と頼まれたら、慎重に判断しましょう。

■動産の「即時取得」制度

「もの」の所有者/占有者では、微妙な違いがあり、

 ・所有者 … 持ち主

 ・占有者 … 実際に使っているひと

を指します。CDに限らず「もの」=動産の貸し借りでは、借りたひとは占有権を持つことになります。ただし所有権は変わりませんので、やがては「真の所有者」に返還する義務があります。

しかし、借りたひとが動産を返さないばかりか、勝手に第三者に売ってしまった場合、「買い取ったひと」が所有権を取得できるとする、ちょっと驚きの法律があるのです。

それは民法・192条(即時取得)という制度で、

 ・平穏に取引された(=奪い取ったわけではない)

 ・過失がない

場合は、買ったひとは「即時に」権利を持つと規定され、つまりは買った瞬間に「所有者」となるので、あとで「真の所有者」が現れても返還する義務はありません。これはAさんに貸した「私のもの」だから返して!が通用しないので、恩を仇で返された気分になりそうですね。

ただし、「盗品や遺失物」の「即時取得」は例外で、動産を盗まれた/遺失した時から2年間は、

 ・本当の持ち主が「占有者」さえ突き止めれば、「返せ!」と主張できる(民法・193条)

 ・「買い取ったひと」に購入時の代金を支払えば、買い戻せる(民法・194条)

が認められています。しかし、ここまでくると、当事者同士では収拾がつかなくなりそうなので、大切なものを盗まれた/遺失した時は、すぐに警察に相談するのが一番でしょう。

■持ち主の敵は「借りたひと」!

当然ながら、「真の所有者」が怒るべき相手は「借りたひと」。ひとのモノを勝手に売ったら刑法・252条(横領)で5年以下の懲役、最初から転売するつもりで「貸して」といった場合は、同じく246条(詐欺)で10年以下の懲役を科すことも可能です。また、動産を買い戻す際にかかった諸費用(代金や交通費など)も損害賠償として「貸したひと」に請求することができるので、相手の反省度によっては、アメとムチを使い分けることも必要かもしれません。

しかし、いちいち面倒な手続きを要するうえ、後味も悪そうなので…悲しいかな、大切なものはひとに貸さない方が良いかもしれませんね。

■まとめ

 ・知人に貸したものが売られてしまったら、即時取得で「買ったひと」のものになる

 ・「買ったひと」から買い戻すか、知人に損害賠償請求するしか道はない

 ・ただし盗品や遺失物は「即時取得」の対象外で、返還を要求できる

 ・借りたモノを勝手に売ったら「横領罪」、ら売るつもりで借りたら「詐欺罪」

(熊田 由紀/ガリレオワークス)

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