【書評】凶悪連続殺人犯に殺害予告を受ける主人公 / 刺激ある小説『殺人犯といっしょ』(古川春秋) (2/3ページ)
・キャラクターがアニメっぽくて想像しやすい
「殺人犯といっしょ」の登場人物は「甘粕新吉」「御手洗真悟」など変わった名前の人物が多いが、それ以上に個々のキャラクター像やビジュアルが際立っておりイメージしやすいものとなっている。
・ジャバウォックは色白美形で黒パーカーをかぶった少年
ジャバウォックを追う刑事、高岡は筋骨隆々の雄々しいヘビースモーカー。婚約者の真由美は気の強いツンデレ美女。
と、オーソドックスなキャラクターが多く登場するので、アニメや映画を見ているように、キャラクターのビジュアルが想像しやすい。300ページ近くあるが、ひっかかるところがなくストレスなく読み進めることができる。
・ラスト8行に残る「後気味悪さ」
『殺人犯といっしょ』は、テーマのわりにグロテスクな表現が少なく、スプラッター嫌いでも、嫌悪感を抱くことがほとんどないように思われる。
快楽殺人犯のジャバウォックが、まるで実験かのようにさまざまな方法で殺人を繰り返すが、鮮明なグロテスクな表現は控えられているので、読んでいる最中に吐き気をもよおすようなことはない。
・秋の夜長に刺激をあたえてくれる
しかし、物語のラスト8行に「後気味悪さ」がぎゅっと詰まっており、すっきりとした気持ちで終焉を迎えられる作品というわけではない……。美しい凶悪連続殺人犯と過ごす、悪夢のような一夜が描かれた『殺人犯といっしょ』。秋の夜長に刺激をあたえてくれる一冊である。