人間の耳は犬の耳。かつて人類の耳は犬の耳と同様音に反応して動いていた(米研究)
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進化の過程でその機能は失われていったけど、まだ形として人間の体に残っている器官がある。痕跡器官と呼ばれるもので、親知らずや虫垂などがそうだが、なんとそれは耳にもあるという。
神経科学者たちの研究によると、わたしたち人間の耳の後ろには退化した昔の筋肉があり、それは音に反応して耳を動かすための神経回路の名残だという。
犬や猫などは、興味を引く音をもっとよく聴こうと耳をその方向へ回転させることができる。人間は進化の過程で羽状の筋肉、耳介を動かすこの能力を失った。
人間の聴覚器官の大きな変化は、3000万年以上前に霊長類が乾いた鼻へと進化した後ですぐに始まった。耳の大きさが小さくなり、関連する筋肉組織が変化した。
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ミズーリ大学のスティーヴィン・ハックリー准教授が発表した研究論文によると、耳介を自在に回し動かせる能力は、サルが人間へと進化する過程で失ったという。
1908年、視線を左や右に移すと、外耳または耳介の後ろの壁の中にある筋肉が動くことを科学者たちが発見した。
その筋肉の動きを調べたところ、目が動くとき、反射神経で音が聞こえた方向へ耳を動かそうと筋肉が動くが、その動きは弱く、実際の動きになるまでにいたらなかった。のちの実験で、興味をひく音または大きな音がすると、筋肉の痕跡内で微弱な電流の流れが計測された。
基本的に無用だとはいえ、この筋肉の名残は心理学者や神経科学者にとって、進化や脳を研究する上で役に立つ可能性がある。
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左からアウストラロピテクス、ホモ・ハビリス、ホモ・エレクトス、ホモ・サピエンス
耳介の向きや耳を動かす昔の筋肉の名残を理解することは、人間の聴覚を研究する研究者にとって助けになる。さらに、完全に独立した機能していない運動器系が、自然への新たな面を見せてくれ、神経の発達や遺伝子的要因に光を当てることで新たな説を育むことができる。
関連する痕跡器官の仕組みを洞察することで、聴覚障害児治療の継続研究に貢献できるかもしれないし、驚いたことに、大人のポジティブな感情の客観的尺度にもなるかもしれない。
たとえ、今はもう使われていなくても、心理学者や神経科学者にとっては進化や脳を研究する上で役立つのだ。
痕跡器官とはなにか?
チャールズ・ダーウィンは、『種の起源』の中で初めて、進化において残った名残器官、つまり人体構造の中の痕跡器官について言及している。彼は、それはかつては生存に必要なものだったが、年月とともに小さくなり不要になった機能で、進化の証拠であるとしている。
人間の虫垂はそのいい例だ。虫垂は大腸から飛び出している小さな嚢で、草食の先祖に残されている器官だ。草食の脊椎動物には欠かせないもので、ほとんどはもっと大きな虫垂をもっている。
親知らずは、今よりもっと大きな顎をもっていた我々の祖先からあるもので、痕跡器官ではあるが、歯科衛生のなかった何世紀も前の我々の祖先にとって、虫歯や欠損した歯の代わりにするのに役立ったのかもしれない。現代の人類は昔にくらべて顎が小さくなったため、余計な歯が無理やり生えてこようとして痛みを伴うことが多い。
尾骨はもっとも顕著な人間の痕跡器官だろう。脊柱の先についたこの器官は尻尾の名残だ。わたしたちの先祖が二足歩行を覚えたとき、それまではバランスをとるのに必要だった尾が徐々に消滅した。このようになくてもほとんど影響のない器官はいくつかある。
via:dailymail・translated konohazuku / edited by parumo
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