【中国】2人以上産まないと罰金!? 一人っ子政策廃止の意義

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一人っ子政策廃止の意図とは? (C)孫向文/大洋図書
一人っ子政策廃止の意図とは? (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは。中国人漫画家の孫向文です。2015年10月29日、中国政府が自国民に対し出産を一人に制限する、いわゆる「一人っ子政策」を完全に撤廃したことは日本でも大々的に報道されました。このニュースを聞き、「ついに中国の人々も自由に子どもを産めるようになったのか」と日本のみなさんは思ったかもしれませんが、事はそう単純な話ではありません。

 そもそも「一人っ子政策」という呼び方は中国では使われず、「計画生育」と呼ばれています。その文字の通り、中国政府側が自国の出産数を計画的に調整するという意味です。今まで一人っ子が推奨されていたのは、人口のインフレーションを防ぐための場当たり的な対応に過ぎませんでした。

急速な高齢化で問題が山積

 日本でも報道されているように、現在の中国社会は計画育成による少子化の影響から急速に高齢化が進んでいます。現時点で60才以上の中国国民は総人口の14%以上に当たる2億人を突破しており、すでに年金不足などの問題が発生しています。

 さらに計画育成によるいびつな出産スタイルの弊害により、中国国内は現在女性人口が不足しており、その比率はおよそ女性100に対し男性105とされています。しかも現在の出生率は男性115:女性100にわたるとされており、近い将来に中国の人口が大幅に減少する可能性が高いのです。経済減速が進む中国は、今後の巻き返しのために大量の労働人口を求めているため、今回の法改正に至ったわけです。

 しかしこれで、計画生育が完全に撤廃されたかというと、中国国民は決してそうは思っていません。日本人が認識している「一人っ子政策」は確かに終わったのでしょうが、「計画生育」は今もなお続行中だと多くの国民は考えているのです。

 今回の法改正があったとしても、中国の人口が増加傾向となる可能性は低いでしょう。現在の中国では父母、祖父母世代の扶養義務を拒み、独身を貫こうと考える人が増加しています。

 もし兄弟が複数いれば家族の扶養に関する負担はその分減少しますが、一人っ子が多い中国の若年層は、結婚したら自分の夫婦だけで、祖父母や両親を養わなければならないため、一気に負担が増してしまうためです。そんな苦役を味わうぐらいならば結婚しない方がマシというわけです。

 さらに中国は子どもに対する養育費が年々増加しているため、経済的な問題から、仮に結婚したとしても子どもを作らない夫婦が後を絶たないのです。中国政府が計画生育を勝手な都合ではじめたツケが、今になって回ってきたといえるでしょう。

 では、このまま中国政府が手をこまねいて見ているかというとそうはならないはずです。僕自身が目にしてきた光景を語りましょう。

 僕が子どもの頃は、計画生育が施行された時期ということもあり、街のいたるところに一人っ子を推奨するスローガンが掲げられていました。それでも二人目、三人目を妊娠する女性は後をたたなかったのですが、政府はその対策として、子どもがいるにもかかわらず妊娠している女性を見つけてはとらえて、病院で無理やり中絶を行わせました。

 これらの一連の行為は中国では「引産」と呼ばれ、自治体や病院側の貴重な収入源になっていたのです。

 では、今回、「一人っ子政策」を辞めた中国政府が今後どうするかというと、それは火を見るよりも明らかです。ネット上ではこのような声が上がっていました。

「今度は二人以上生まないと、罰金か?」

 そう、これまで計画的に人口を調整してきた中国は、今までとは逆に一人しか子どもを作らない家族に対する罰金、更には中絶行為の禁止を制定する可能性があります。

とある中国人ネット民が、次のようなツッコミをしていて、大いに共感されていました。

「ぜひ二つ目の政党を許可しなさい」

 新しい命を、自国を繁栄させるための「道具」としか見なしていない中国政府──僕も新たな政府が生まれることを強く望んでいます。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

(構成/亀谷哲弘)

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