ニャンと!タロ・ジロとともに南極へ渡った三毛猫がいた!

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「タロ」と「ジロ」といえば、初代南極観測船宗谷で南極に渡った樺太犬として有名です。高倉健さん主演の映画『南極物語』(1982年公開)や、木村拓哉さんが主演したドラマ『南極大陸』(2011年放映)で知っているという人も多いことでしょう。

ところで、宗谷にはタロとジロのほかに、オスの三毛猫「タケシ」も同船していたことをご存知でしたか?

三毛猫のほとんどはメスで、オスの生まれる確率は3万分の1といわれるほど稀なこと。そんな珍しい存在であるオスの三毛猫には、船に乗せると安全に航海ができるという言い伝えがあります。

タケシは動物愛護協会で保護された猫で、南極観測船が出航するというニュースを聞いた協会の方が、航海の安全を願って隊員達のもとに連れてきたのでした。

この時点で三毛猫にはまだ名前がありませんでした。そこで、初代南極観測隊隊長の名前が永田武さんだったことから「タケシ」に決定。

ちなみに、「宗谷」にはカナリアもいたそうです。犬たちは犬ゾリを引っぱる大切な移動手段として、カナリアは一酸化炭素などの有毒ガスをいち早く検出するための任務がありました。ところが猫のタケシは・・・縁起が良いというだけで、別段何ら期待される働きはありませんでした。

しかし、昭和基地のアイドルとして、心の癒しとして、大いにその手腕を発揮していたようです。

隊員たちに非常にかわいがられ、タケシ専用の赤い小さな救命胴衣をハンドメイドしてもらったこともありました。

芸達者な一面もあり、「キオツケ!」と号令をかけると、後ろ足で立ち、テーブルの上にアゴをのせ、前足をそろえて出し、頭を真っ直ぐ前に向けて目をつむるというポーズもできたそうです。

また、永田隊長に対して不平不満があると、「こらっ!タケシ!」と三毛猫タケシに向かってうっぷん晴らしをしていた隊員もいたというユニークなエピソードも残されています。

寒い日に猫はコタツが定番ですが、昭和基地にはそれがありません。温かな場所を求め基地内を探検していたタケシは、ある日、送信機を発見。その大きなケースの中にもぐりこんだのでした。

すると、「パチン!」という音とともに電気が消え、毛の燃えるニオイが・・・

あろうことかタケシは高圧線にふれてしまったのです。肩に大やけどを負ったタケシ。しかし奇跡的に一命をとりとめます。

こうして昭和基地で1年の任期を過ごした隊員と動物たち。交代の第二次南極観測隊が南極にやってきました。しかし、あいにくの悪天候。第一次隊はビーバー機(飛行機)で第二次隊が乗っている「宗谷」に向かいました。

小さなタケシとカナリアは第一次隊とともにビーバー機に乗り込むことができたのですが、タロとジロ他15頭の犬は乗ることができませんでした。

後日、第二次隊が犬達のもとに向かう予定でした。しかし天候は一向に回復せず、ついに帰国という決断が下されたのでした。

無事帰還した猫のタケシ。その後、隊員の自宅で飼われる予定になっていました。しかし、帰国後間もなくタケシはこつ然と姿を消したのだそうです・・・

タロとジロの奇跡の物語の陰には、こんな賢く、愛くるしく、気まぐれな猫のもうひとつの物語があったのです。

猫の魅力はホント尽きません。

(文・鈴木ゆかり)

※参考『こねこのタケシ』(阿見みどり 作・わたなべあきお 絵/教育出版センター )

※写真はイメージです。

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