【パリ同時多発テロ】情報錯綜で悪質デマが蔓延…日本にも飛び火

デイリーニュースオンライン

パリ同時多発テロの止まらぬ余波(写真はイメージです)
パリ同時多発テロの止まらぬ余波(写真はイメージです)

 13日夜にフランス・パリで起きた同時多発テロ。16日までに120名以上の死亡者と300名以上の負傷者が確認されており、世界中に衝撃を与えた。ネット上ではパリで起きた惨劇に祈りや驚きの声が相次いだほか、情報が錯綜するなど様々な余波が出ている。

デマ拡散「フランス人がシリア難民キャンプを報復放火」

「悪夢」「まるで地獄」と評されるパリの惨劇。フランスのオランド大統領は、犯行がイスラムの過激派組織「イスラム国(以下、IS)」によるものであると発表。フランス警察は、同グループへの協力者も含め、大規模な捜査を展開している。15日には、フランス軍がISの拠点が位置するシリア北部のラッカへ、過去数ヶ月のなかで最大規模の空爆を実施した。

 ネット上で様々な声が上がるなか、事件直後、一部で「フランス人がシリア難民キャンプを報復放火」という噂が駆け巡った。フランス北部の都市カレイにあるシリア難民キャンプのテントが、テロに対して激怒した一部フランス人によって放火されたというものだ。これに対し、日本でもSNSやネット掲示板を通じて「こうした負の連鎖を糾弾する日本のメディアは今のところ皆無」と報復放火の噂が一気に広まった。

 実際に「ジャングル」と呼ばれる同都市の難民キャンプ地が、約2500㎡におよぶ火災に発展した模様。しかしフランスの地方紙「ラ・ボワ・ドゥ・ノルド(LA VOiX DU NORD)」が14日、消防と軍隊が消火活動にあたっていると報道して「SNS上に報復放火だという噂が流れた」と語るなど、パリで起きたテロとの接点は否定している。

 今回のテロ騒動でもう一つ物議をかもしているのが欧米メディアの「kamikaze」発言だ。同時多発テロをめぐって、一部欧米メディアが自爆テロを「kamikaze」「kamikaze attack」などと表現。これに対してネット上では「神風特攻隊は国の為家族の為に戦ったのであり、一般市民を狙ったテロではありません」「戦時に敵に攻撃すること無差別テロは違う」「なんだか複雑」「(欧米メディアが自爆テロをkamikazeと表現することに対して)もう慣れたけど、慣れない。ほんと、やだ」と様々な声が上がっている。

 また一部のネットユーザーが「まるで日本がやったみたいやんけ」「安倍は抗議しろ」「(日本政府は)厳重に抗議すべき。テロリストと一緒にされてたまるか!」と怒りを露わにした。

「20年前と違って今は、SNSという個人が手軽に情報発信できるツールが普及しているだけに、情報の錯綜に拍車がかかりました。また欧米圏の現地ニュースが入手しやすくなった分、"kamikaze"表現がクローズアップされました。今回のテロを通じて、個人レベルから政府レベルに至るまで、インターネット時代における冷静かつ適切な対応が求められています」(報道関係者)

 錯綜する情報に惑わされず、くれぐれも冷静に判断・発言を。 

(取材・文/蒼木学)

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