スター・ウォーズの世界観と融合!写真展「DARK LENS」仕掛け人インタビュー (2/2ページ)
──作品を作る際に気を付けていることは?
バランスがとても重要ですね。キャラクターのインパクトが強すぎれば、ただのスター・ウォーズの写真になる。足りなければ、スター・ウォーズとまったく関係の無い写真になってしまう。
何年か前に、「こんな作品は誰でも作れる」と言って真似をしていた人たちがいました。けれど実際に作られたものを見てみたら、ただおもしろおかしいだけの作品に仕上がっている。キャラクターや、その場所へのリスペクトが足りていないとそうなります。
それからもう一つ、私が作品を作る上でいつも心がけているのが"Intuition(直観力)"です。どうしてその作品を作りたい気持ちが生まれたかが大切です。他の真似する人たちも、この"Intuition"が足りない。ただのアイデアだけでは作れません。

──日本で作品を撮影するとしたら、どこか撮影場所を決めていますか?
決めていません。まだ「感じる」段階です。作品として「撮る」ために、「Dark Lensメガネ」をかけてもう一回あっちこっち見て回ろうかと。でももう歳をとっているから、以前よりもゆっくりしたい気持ちが強いですね。若い頃はもっとペースが速かったかもしれない。
──来月、いよいよスター・ウォーズの最新作が公開されますね。
もちろん観に行きます。けれど、すぐには行きません。「スター・ウォーズだからどうしても観に行かないといけない」という気持ちではない。私の作品も、スター・ウォーズのファンのためだけに作っているわけではありません。スター・ウォーズを知らずに、私の作品集を買ってくれる人もいます。でも、映画はもちろん観に行きますよ!
──スター・ウォーズのキャラクターで一番思い入れがあるのは誰ですか?
あまり特別な思い入れのあるキャラクターというのはいません。シリーズとしてはやはり最初のトリロジーであるⅣ・Ⅴ・Ⅵが好きですが。強いて言うなら、ハン・ソロに一番インパクトがありました。映画を見る多くの人は「ルーク・スカイウォーカーになりたい」と言い、「ハン・ソロになりたい」という人はなかなかいない。
ルークは、若くて、これからのヒーローという感じですね。対してハン・ソロは、もともとスピリットとしても悪い人。だけどユーモアもあって、お父さんみたいなイメージです。女の人のために頑張る、男らしい人ですね。
チューバッカとコンビを組んでいますが、もともとの話ではチューバッカの方がリーダーになる予定だったそうです。だけど喋れないキャラクターはリーダーとして使い辛いので、結局は立場が逆転しました。そこも面白いなぁと。

──来場される方には、どんな気持ちで作品を見てもらいたいですか?
他人の気持ちをコントロールすることはできません。見る人に任せます。私はただ扉を開くだけです。その私が開いた扉の裏に私がいろいろセッティングした世界を見ていただければ。「本当の世界」というものは存在しません。
誰の目にも世界は違った風に映っている。世界について考えた時点で、「本当の世界」というものは無くなってしまいます。「本当の世界とは、バカな人のためだけにある」という有名な言葉がある。頭を使わないといけない。一度、世界を「ダークサイド」にしてしまいましょう。闇の中を通らないと、光はわからない。ニーチェの名言にもあるように、「夜もまた一つの太陽」なのです
──最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
とにかく皆さん、来てください。そして何度でも足を運んで、楽しんでください。今日来てくださった方の中にも、「また来ます」と言ってくださった方がいました。次に来場されるときは、また別の新しい作品も見ていただければと思います。
また、私は日本の3DCGアーティストとコラボレーションすることにも興味があります。ただしアニメーションではなく、リアルな映像のクリエイター限定で。それから、英語ができないとダメです。
「世界を『ダークサイド』にしてしまいましょう」という言葉も飛び出したが、これは決して、ダース・ベイダーになってしまえという意味ではないそう。ダークサイドへの誘惑に打ち勝ったルークのように、光を得たければ必ず闇を通らなければならない。そう考えながら作品を見ると、彼の写真の中にこそ現実が広がっているようにさえ思えてくる。
実際にセドリックさんにお会いしてみて、自分の世界観というものを持った芸術家という印象を受けた。ジョージ・ルーカスから認められるのも納得である。本人からも「自分は『場所』のフォトグラファーだ」というコメントがあった。自分の芸術家としての役割をきちんと把握されているのだろう。自分が見たそのままの世界を相手に見せたい。決して誰かに媚びるためにやっているのではないという真摯な姿勢が垣間見えた。

また「スター・ウォーズのファンのためだけに作品を作っているのではない」とも話していて、本人はスター・ウォーズのファンではないのかと疑ってしまった。しかし、ただファンとしての気持ちを押し出し過ぎてしまうと、作品のバランスが崩れてしまう。そこで、「新作が公開されたら観に行くけど、すぐには観に行かない」と語るなど、絶妙な距離感を取っているのかもしれない。ファンと言うより、もはやスター・ウォーズは生活の一部なのだろう。
実はこれまで、スター・ウォーズ作品を全て見ていたわけではない。初めて「DARK LENS」作品を見たとき、一部の日常世界に架空のキャラクターが違和感なく存在していることに妙な印象を受けた。その一方で、とにかく「もっと見たい。キャラクターは分からないけど、もっと見たい」と思い、彼のサイトにアクセスしていた。その時点では、なぜその場所にそのキャラクターを配置したかまではよく分からないという印象だった。
しかし、取材に備えて全シリーズを鑑賞したのちに今回の写真展を見たことで、それぞれのキャラクターの背景も分かり、より作品世界が深まったように思う。カーボンで固められたハン・ソロが屋外に晒された「Carbonite, Lille & surrounding wastelands, 2007」は、どことなく哀愁が感じられる。
また、夜の建設現場の前に佇むダース・ベイダーを写した「Darth Vader, Dubai 2009」は、エピソードⅥで新デス・スターの製造を手下たちに急かせていた彼の姿と重なる。作品を通すことで、よりセドリックさんの作品世界にも近づけた。

セドリック・デルソーが繰り広げる「DARK LENS」の個展は、ディーゼル渋谷地下1階ギャラリースぺースにて2016年2月11日まで開催中。入場は無料なので、ショッピングのついでにでも、その新しい世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。
インタビューでは日本人アーティストとのコラボについても話が出た。我こそはという3DCGアーティストの方もぜひ会場に訪れ、名乗りを上げてみよう。
<アーティスト>
Cédric DELSAUX (セドリック・デルソー)
<開催日時>
2015年11月20日(金) - 2016年2月11日(木)
11:30~21:00 休館日: 不定休
入場無料
<会場>
DIESEL ART GALLERY
東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti B1F
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(取材/平原学)