管理栄養士が教える! ダイエットで1日1食が逆効果なワケ

ダイエットに効くかも、料理を作るのは面倒だし節約にもなるしと、さまざまな理由で1日1食の生活をする人が増えていると聞きます。ですが、健康に与える影響はどうなのかも気になります。管理栄養士で、糖尿病クリニックにて患者さんの食事指導にあたる西山和子さんは、
「1日1食にする場合は、必要な栄養素が足りず、免疫力や体力、集中力が低下することがあります」と話します。詳しいお話を聞いてみました。
■ビタミン類は1日に何度かに分けて補給が必要
1食で1日分の栄養をとるのは難しいのでしょうか。西山さんは、次のように話します。
「飽食・過食の時代と言われる現代で、食事は生きる楽しみの一つでもありますが、生活スタイルやし好、遺伝体質は人それぞれ違うので、自分の体に合った食事を選ぶことが大切です。
例えば、健康でダイエットの必要のない人が1日1食にした場合、体の代謝に対して栄養素が不足しやすくなります。カルシウム不足による骨粗しょう症、タンパク質やビタミン類不足による免疫力の低下、肌荒れ、体力低下、女性の場合は特に鉄分不足による貧血も懸念されます」
かえって体に負担が出てくるということでしょうか。
「肝臓や筋肉にはグリコーゲンという形でエネルギーが備蓄されていますが、食事で補給しないままだと消耗することのほうが多くなります。すると、筋力や集中力の低下、ホルモンの分泌にも悪影響を与えます。
また、『中性脂肪』、『血糖』のように体内に貯めて必要に応じて使用できる栄養素もありますが、『水溶性ビタミン類』で特にビタミンCのように体内での合成ができず、尿と一緒に排出されるので常に補給しなければならない栄養素もあります。ビタミン類や食物繊維、水分を得るためには、1日に何度かに分けて適量の食事をし、野菜や果物を食べる必要があります」と西山さん。
■1回ドカ食いで逆太り
ダイエットのために食事を夜だけにして「余計に太った」と言う同僚がいます。西山さんは、そんな人の体に起こっていることについて、こう指摘します。
「『1回ドカ食いだめ』になったと考えられます。長時間空腹でいた場合は、そうでないときと比べると、同じものを食べても腸からの吸収がよくなり、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が急上昇しやすくなるんです。
すると、血糖値を一定に保とうとする『インスリン』というホルモンがすい臓から一度にたくさん分泌されます。このインスリンは全身の細胞にブドウ糖をとり込ませまてエネルギー源にするための橋渡しや、中性脂肪をつくって蓄えることを促すため、『1回ドカ食いだめ』は、動脈硬化や糖尿病など生活習慣病の原因になります」
体が栄養素や脂肪をため込もうとするのですね。さらに西山さんは、食事の働きについて次のように説明します。
「朝は体を目覚めさせるため、昼は動いている体にエネルギーを補給するため、夜は疲れた体のメンテナンスをするため、軽めの食事や昼間のおやつは足りない栄養素を補うためと、食事にはそれぞれに意味があります。
また、食事は腸のぜん動運動を高める刺激となって、スムーズな排せつを促します。1日に1度の食事の場合は、1日に1回しか腸に刺激が与えられないことになり、腸に便がたまりやすく、腹痛や腰痛、肌荒れ、ストレスの原因になります。定期的に刺激を与えるためにも、1日3度の食事が適切と言えるでしょう」
「1日3食にするとストレスフルになるなら話は別ですが、なるべく3食に分けてエネルギーの吸収を適正に配分しましょう」と話す西山さんは、3食にするメリットについてこう続けます。
「血糖リズムが整って体の各器官への栄養補給をタイミングよくいきわたらせるので、規則正しい食生活を送るコツにもなります。
内臓脂肪がたまっている肥満の人が、ダイエット目的で1日1食にする場合は、1回ドカ食いでなければ効果が期待できますが、体調を崩さないように栄養バランスに気を付けながら1~2カ月を目安に行ってください。その際、水分補給は忘れないでください」
ダイエットを目的とする1日1食の生活は、栄養素の配分や腸の刺激の回数に悪影響を及ぼし、ドカ食いによる体重増加や病気を引き起こす可能性があること、また、体の活動にスイッチを入れる、生活習慣を整えるという点からも、「食事は1日に3度が適切」ということです。
(岩田なつき/ユンブル)
取材協力・監修 西山和子氏。糖尿病専門の医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)にて管理栄養士、糖尿病療養指導士。糖尿病、生活習慣病、メタボリックシンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博 洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。