【地方創生】成功のカギは「地域」ではなく「住民」にあり (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

宿泊施設の数が少ないのは奈良県の県民性!?

 それではなぜ奈良にはこうした宿泊施設が少ないのだろうか。ここは多少なりとも奈良の県民性が反映しているとも言われる。例えば、奈良県には大神神社という日本最古の神社の一つにも数えられる伝統的な神社がある。しかし、周辺地域には宿泊施設は二カ所しかなく、ニーズに対する供給は十分とは言えないだろう。しかし、その理由を地元の方に尋ねるととにかく状況を改善しようという意欲に欠けるという。

 事実、周辺地域には空き家も多く、二軒ある宿泊施設のうちの一つはそうした空き家をイノベーションしたもので実に活況を帯びている。普通であれば、そうした成功例に続きたいところだが、地元の人は「空き家はあっても、貸さない、売らない、何もしない」というのだ。もちろん、これを批判するつもりはまったくないが、何だかもったいないような気もする。

 地元の研究家に話を聞くと、奈良はもともと地域を治めるお殿様のいない土地だったという。基本、寺社仏閣によって維持され、何年も何も変わらない時代が続いた結果、奈良では変革よりも不変を望み、自らを変える意志をなくしてしまったという。

 もちろん、これは一つの憶測に過ぎないが、確かに、時代の変化に歩調を合わせるというよりは、今のままでいいという声が多いようだ。もちろん、こうした文化遺産が現状維持できるのならいいが、県の南部では1960年から2005年の45年間で約40%の人口が減少しているというからそう簡単な話でもない。

 これは奈良県に限った話ではなく、東北地方や四国地方、山陰地方といった各地にも言える話である。しかし、あくまで問題の本質はその土地にあるのではなく、そこの住人がどう考えているのかにあるということを忘れてはならない。

 日本は世界でも有数の文化と歴史に溢れている。しかし、その魅力を私たちは果たしてどこまで理解できているだろうか。実は、その理解が一番できないのが意外にもその土地に住む当の本人であったりもする。現実的に厳しい面も多いのかもしれないが、海外からの注目は岐阜県の飛騨高山をはじめ、より地方へと向けられつつある。

 このチャンスを次の世代にどう引き継ぐのか。今、その覚悟を私たちは問われているのかもしれない。

著者プロフィール

toujyou

一般社団法人国際教養振興協会代表理事/神社ライター

東條英利

日本人の教養力の向上と国際教養人の創出をビジョンに掲げ、一般社団法人国際教養振興協会を設立。「教養」に関するメディアの構築や教育事業、国際交流事業を行う。著書に『日本人の証明』『神社ツーリズム』がある。

公式サイト/東條英利 公式サイト

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