中国人のマナーはさらに悪くなる? ”爆買い”ブームの裏でトラブルが深刻化 (2/2ページ)
例を挙げると、2015年4月12日、女子中学生がバス内で席を譲らなかったことに腹を立てた老人が、「頭も悪い上に道徳心もない!」と彼女を罵倒したあげく、彼女が通学する学校に抗議するという事態が発生しました。実はその時、女子中学生は生理痛で席から動くことができなかったのです。後日、彼女はブログに「今の中国は老人たちの公共心が低下しているのではありません。もともと公共心の低い人たちが老人となっただけです」と書き込みました。これは紅衛兵世代のマナーの悪さを揶揄した言葉でしょう。
それ以外にも、電車内で男子小学生が初老の女性に席を譲ってくれとお願いした際、女性が小学生のバッグを投げ捨て「学校に連絡して、退学に追い込んでやる!」と脅迫したり、席をめぐって若い女性と初老の女性が口論になった際、初老の女性が若い女性の衣服を剥ぎ取り半裸にしてしまった、といった事例が相次いでいます。普通の国では若い世代が老人たちに危害を加えることがありますが、中国では逆転現象が発生しています。
僕が祖母から聞いた話によると、かつては中国人たちの心にも「譲り合い」、「助け合い」といった公共心が根付いていたそうです。「悪いことをするとお天道様(太陽)のバチが当たる!」というのは、昔の中国の親が子供を叱る時によく使われた言葉だそうです。
しかし、文化大革命の影響により中国からは道徳心が失われ、代わりに「自分さえよければいい」という即物主義的な思想がはびこってしまったのです。日本など先進国に旅行した中国人たちが現地の人々のマナーの良さに影響され、即物主義から脱却してもらいたいと考えているのですが、海外旅行が可能な中国人は、ある程度裕福な層に限られているのが現実です。
いずれにせよ宗教、道徳を否定する共産党政府が実権を握っている限り、中国人全体のマナーが向上することはないでしょう。
著者プロフィール

漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)
(構成/亀谷哲弘)