【中国】核兵器開発も推進…日本を照準圏内にする新組織「ロケット軍」の実力
こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。2015年12月31日、中国人民解放軍が「ロケット軍」、「陸軍司令部」、「戦略支援部隊」の3組織を新たに設立したことが、中国政府機関メディアにより伝えられました。習近平国家主席による発足式が同日行われ、それぞれの部隊の司令官が任命されました。
今回の軍改革により、戦略ミサイルを担当する陸軍「第2砲兵」がロケット軍として独立し、今まで存在しなかった陸軍司令部を設置することにより、陸海空3軍の指令系統が独立化することになりました。
■ロケット軍のミサイルは日本も照準圏内に
戦略支援部隊においては具体的な内容は語られませんでしたが、サイバー攻撃や軍事衛星を扱う部隊だと一部の海外メディアでは推測されています。習主席は軍改革の理由を「防衛力を強化するため」と答えましたが、実際は中国を「覇権国家」にするための軍事拡張と、習主席自身が中国軍を掌握するためであることは明らかです。
今回設立された3組織の司令官は、いずれも習主席により上将(中国軍最高の階級)に任命、もしくは昇格することが予定されている人物です。さらに海軍、空軍司令官は今まで胡錦濤前主席時代に任命された人物が担っていましたが、2人は近日中に退任することが予定されており、次に就任予定の2 人はいずれも習主席が掲げる「対外拡張路線」に賛同している人物と言われています。
このように軍改革による人事異動が予定通り行われば、中国軍の中枢部は習主席の息のかかった人物ばかりとなります。今回の軍改革の発表は、「政治のみならず、軍事まで独裁体制になったぞ!」という習主席のメッセージだったのかもしれません。
さらにロケット軍の設立は重要な意味を持っています。ロケット軍の前身である第2砲兵は陸軍の1部隊に過ぎませんでしたが、今回の軍改革により、陸海空軍と同列の「第4の軍隊」となったのです。前述のようにロケット軍は戦略ミサイルを担当する軍であり、「東風-5B」(DF-5)、「東風-31A」(DF-31)など所持するミサイルは太平洋横断能力を有しています。つまりこれらのミサイルは日本、アメリカ、台湾など中国政府が「仮想敵国」とみなしている国家を射程距離に捉えたものであり、中国の一部メディアによれば、東京、沖縄、台北、ニューヨークなど各主要都市一帯が照準圏内となっていると報道されました。
中国のポータルサイト「新浪軍事」によると、今回のロケット軍の設立は中国軍の核兵器開発の推進という意味合いもあるそうです。冷戦時代の中国はアメリカなど資本主義国家の圧力により核開発が抑制されていました。そのため戦略核ミサイルを担当するのは第2砲兵という1部隊に過ぎなかったのです。
しかし冷戦終結後、国力が向上したことにより、核開発に対する中国の権限は拡大しました。しかも中国は米露間で結ばれた核削減条約を結んでいないため、比較的自由に核開発を行うことが可能なのです。そのため第2砲兵はロケット軍へと「晴れて」昇格したのです。現在、中国軍は現時点での覇権国家であるアメリカに対抗するために、積極的に核兵器研究・開発を推進しています。
この流れを受け、愛国思想の強い中国国民たちは「2015年の大晦日は歴史的な1日となった!」「感動した!祖国の強さを実感した!」「毛新宇(毛沢東の孫)をロケット軍の司令官に」と賞賛したり、「中国に反抗する国に核ミサイルを打ち込んでやれ!」、「中国はかつての超大国ソビエト連邦の継承者だ!」、「尖閣諸島やモンゴルを奪還せよ!」などと覇権主義的な思想をネット上に書き連ねました。その一方、「『核平』(核開発を皮肉った言葉、北京語で「和」と「核」が同じ発音であることから)だな!」「本当は『ミサイル軍』でしょ?」などと、中国の軍事大国化を不安視する声も寄せられていました。
さらに中国はアメリカなど諸外国の抗議を無視し、南沙諸島の埋め立てを急ピッチで進めています。もし埋め立て地に大規模な滑走路が完成すれば、航空機が容易に太平洋を横断できるようになります。おそらく中国政府は中国軍が太平洋の制海・制空権を獲得するという壮大な野心を抱いているのでしょう。現在、中国軍は「遼寧」に続く第2の空母を開発していますが、南沙諸島を「第3の空母」にするつもりなのです。
このように現在の中国は、世界の潮流に逆行するかのように積極的に軍事的拡張を進めています。かつてのローマ帝国やモンゴル帝国、あるいはナチス・ドイツのように「武力による制圧」が今後、中国により実行されるかもしれません。
さらには2016年1月6日、北朝鮮が水爆実験を行ったことが発表されました。このような危険性の高い軍事国家に囲まれているのが現在の日本です。「近隣諸国に危険性はない」と語る日本のリベラル・左派系の方々には、本当に平和的手法のみで事態が解決できるのか、集団的自衛権は不必要な法案か、改めて考えてもらいたいと思います。
著者プロフィール

漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)
(構成/亀谷哲弘)