3分で心が強くなる!マイブレス式呼吸法「数える呼吸」のやり方
『呼吸で心を整える』(倉橋竜哉、フォレスト出版)の著者は、日本マイブレス協会代表理事。
「セルフコントロール」と「呼吸」の関係性を研究して呼吸法を体系化し、「マイブレス式呼吸法」を開発したという「呼吸のプロフェッショナル」です。
その人の息づかいを見れば心の状態がわかり、「ストレスに強い人なのか? 弱い人なのか?」「身のまわりが整っている人なのか? 散らかっている人なのか?」といったこともわかるのだとか。
心と体の状態は呼吸に現れるもの。だから逆に呼吸を意識的に変化させれば、心と体の状態を変えること可能になる。それが、著者の提唱する「マイブレス式呼吸法」なのだそうです。
「誰でもできる」「いつでも、どこでもできる」「お金をかけずに、簡単にできる」と三拍子揃ったマイブレス式呼吸法のなかから、数えて呼吸するだけで集中力が高まるという「数える呼吸」にスポットを当ててみましょう。
■「数える呼吸」とは?
数える呼吸は、心を鍛えるトレーニングに最適な呼吸法。そしてその効果は、筋トレの効果を思い浮かべると理解しやすいといいます。
スポーツジムでダンベルを使って筋肉を鍛えると、強靭でしなやかな肉体をつくることができます。
同じように、「数える呼吸」を通じて「心の筋トレ」をすれば、自分の意思でなにかをやり遂げたり、誘惑に振り回されなくなったり、多少のストレスでは折れない心をつくることができるというのです。
この、数える呼吸ですることは、呼吸の回数を数えることだけ。しかし、大切なポイントがあるそうです。
それは、できるだけ余計なことを考えないということ。ただひたすら、呼吸の回数を数えることに意識を集中するのです。
そんなとき、想念や雑念が浮かんできてしまうのは仕方のないこと。ただし、それらは受け流すようにするべき。
なにか気になることを思い出したとしても、「それはいったん横に置いて、呼吸の回数を数えることに意識を剥けよう」と意識を戻すべきだというわけです。
筋トレは、重いものを持ち上げたり降ろしたりすることで筋肉を鍛えますが、数える呼吸では、頭に浮かぶ想念を、「浮かんだら受け流す」ことを繰り返す。それが、心の筋肉を鍛えることになるのです。
■「数える呼吸」の仕方
姿勢は、座った状態でも、立った状態でもOK。継続して取り組むことで成果が出るので、最初から無理をしないことが大切だといいます。
背筋は、前かがみになったり、後ろにもたれたりしないようにすることがポイント。上半身が腰にきちんと乗っている状態にするのがベスト。
胸を張るべきでないのは、背筋をピンと伸ばしすぎて胸を張ってしまうと、呼吸しづらくなったり、腰を痛めたりしてしまうことがあるから。
座っているときは、手のひらを上向けにして膝の上に。立っているときは、手のひらを前に向けましょう。
そして目を開けて一点を見つめ、呼吸は吐くところからスタート。
ゆっくりと息を吐き、十分に吐き切ったら2、3秒だけ息を止めます。
その状態から、力をふっと抜いてやると、自然と息が入ってきます。そのとき、無理に吸わないように。自然に入ってくるだけでいいそうです。
息を吐くときは、口からでも鼻からでも大丈夫ですが、息を吸うときはできるだけ鼻からにしましょう。
口から息を吸うと、空気が乾燥している時期などは喉を痛めるおそれがあるからです。
■「数える呼吸」のコツ
数える呼吸は、次の3つを頭に置いて始めます。
(1)息は吐くところからスタートし、毎回きちんと吐き切る
(2)できるだけゆっくり、細く長く息を吐く
(3)呼吸の回数を数えることに意識を向ける
もしも途中で他のことに気を取られ、回数がわからなくなってしまっても、わかるところまで戻れば大丈夫。最初は想念がたくさん頭に浮かんできますが、それが普通なので安心してくださいと著者。
最初は10回くらいからスタートし、慣れてきたら毎回5分、あるいは10分と時間を増やしていくようにしてください。
なお初心者の場合、10回をおよそ2、3分で終えることができるといいます。
たったこれだけのことで無駄が省くことができるので、「やることが少なくなる」「作業が早くなる」「忙しいと感じなくなる」などのメリットがあるのだそうです。
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本書では、他にもさまざまな呼吸法が紹介されています。もちろん、どれも難しくないものばかり。日常生活に取り入れてみれば、いつもの日常がより心地よくなるかもしれません。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※倉橋竜哉(2015)『呼吸で心を整える』フォレスト出版