目指せ大気圏突破! 東北大学ロケット製作打上サークル「FROM THE EARTH」の活動とは

学生の窓口

「モデルロケット」をご存じでしょうか。「モデルロケット」とは、教育に用いられる実際に打ち上げ可能な模型のロケットです。宇宙に思いを馳せる多くの人たちによって世界各国でモデルロケットは打ち上げられています。東北大学には、モデルロケットの製作・打ち上げを行っているサークルがあるのです。

「東北大学ロケット製作打上サークル『FROM THE EARTH』」代表の林大悟さん(工学部2年生)にお話を伺いました。

――「FROM THE EARTH」ではどのような活動を行っているのでしょうか?

林代表 当サークルのモットーの一つは、

●全ての人に夢と感動を与える

です。このモットーに基づいて主に、

1.モデルロケットの制作・打ち上げ
2.ボランティア活動

という2つの活動を行っています。モデルロケットの制作・打ち上げはもちろんなのですが、小学校や児童館、仮設住宅などで「ペットボトルロケット教室」を開き、子供たちに「ペットボトルロケット」の打ち上げの指導を行ったりしています。子供たちに楽しみながらロケットの知識を身に付けてもらえます。


↑「ペットボトルロケット教室」の様子です。

*……「ペットボトルロケット」は、ペットボトルを機体に用い、そこに水と圧縮空気を入れ、水と空気の反作用によって上昇するロケットです。

■ハイブリッドロケットの打ち上げにも成功!

――モデルロケットは年間何機ぐらい制作して打ち上げるのでしょうか?

↑「モデルロケット」の打ち上げ略図

↑「モデルロケット」の構造

林代表 そうですね、大型のロケットだけでも年5回程度、小型のものまで含めると20-30回は打ち上げていると思います。

――大型のロケットというとどのくらいの大きさになるのでしょうか?

林代表 全長で1-1.5mほどになりますね。

↑「FROM THE EARTH」の大型モデルロケットの打ち上げ準備です。

↑打ち上げに臨む大型モデルロケット。

――どのくらいの高さまで上がるのでしょうか?

林代表 ロケットの重さにもよりますが、G型のエンジン(後述)を積んだ大型のものですと100-200mぐらいの高度に達します。

――ロケットの制作にはどのくらいの期間を要するのでしょうか?

林代表 大型のものですと1機に1-2カ月です。

――ロケットのエンジンはどうやって入手するのですか?

林代表 モデルロケットというのは教育用のものでして、これに使うエンジンは販売されています。A型と呼ばれる一番小さなものは例えばamazonなどでも簡単に購入できます。イメージでいうと、ロケット花火の火薬部分のようなものです。

――なるほど。そんな小さなものからあるのですね。

林代表 はい。私たちが制作する大型のロケットでは「G型」のエンジンを積んだものになります。固体火薬燃料ロケットだけでなく、ハイブリッドロケットの打ち上げにも成功しています。ハイブリッドロケットは、液体酸化剤を用いて燃焼効率を上げ、高い比推力を得られるのが特徴です。

――大型のエンジンはいくらぐらいするものですか?

林代表 かなり高価で、ハイブリッドロケットエンジンでは6万円ぐらいしますね。お金が掛かるという点がロケット製作打上サークルの弱点かもしれません。当サークルではBoeing Higher Education Program(ボーイング社が世界的に展開する教育プログラム)に参加し、また株式会社リラク様よりご協賛いただいております。

――エンジンは購入して、その他の部分は全て自分たちで設計、開発するのですね? 制御に関するソフトはどのようにするのですか?

林代表 はい。制御プログラムはマイコンに書き込んでロケットに搭載します。

――アメリカなどと違って日本の場合、モデルロケットの打ち上げには制約があると聞きますが?

林代表 まず日本モデルロケット協会が発行するライセンスが必要です。また、消防、空港への申請が必要です。

⇒『特定非営利活動法人 日本モデルロケット協会』公式サイト
http://www.ja-r.net/

■新入生は小さなものから始める!

――サークルに入った新入生はどんなことから始めるのでしょうか?

林代表 まず先ほどのA型エンジンを用いた小さなモデルロケットを製作して、これを打ち上げることから始めます。

――難しいのですか?

林代表 いえいえ(笑)。頑張れば1日でできますよ。「マーブルチョコ」がありますよね。あれをロケットのボディに使えます。うまい具合にふたが外れますので、その部分も利用できてロケット製作にはちょうどいい感じです。

――なるほど。

林代表 モデルロケットがどのようなものか、新入生にも理解しやすい良い教材だと思います。

――ロケットに打ち上げに失敗することはありますか?

林代表 やはりありますね。世代を超えてノウハウがうまく伝わるかが難しい部分でして、どんなに設計がうまくいっても実際に打ち上げてみるとそのとおりに動かないということがあります。

他には、例えば2015年に参加した「能代宇宙イベント」では、直前に仕様を変更しました。このイベントではハイブリッドロケットを打ち上げたのですが、パラシュートのひもを太くしたのです。この変更で体積が大きくなってしまい、パラシュートがうまく開かず、完全回収がなりませんでした。このように少しの変更でも大きな影響があるものなのです。

⇒『能代宇宙イベント』公式サイト
http://www.noshiro-space-event.org/

■ロケット制作・打ち上げの魅力とは!? いつかは大気圏突破を!

――林さん自身がロケットの製作、打ち上げを行うサークルに入ったきかっけは何でしたか?

林代表 大学に入るまではロケットには全然興味がなくて、ロケットについての知識もなかったのですが……。知り合いの先輩が「FROM THE EARTH」にいたので、それで私も入りました。その後のめり込んでしまって、今では代表も務めています。

――のめり込んでしまうほどの魅力はどんな点でしょうか?

林代表 自分たちが設計して作り上げたロケットがきちんと打ち上がったとき、パラシュートが開いてそれが地上に降りてきたときには心の底からうれしくなります。その瞬間の喜びが大きな魅力ではないでしょうか。

――サークルとして目標はありますか?

林代表 「FROM THE EARTH」のもう一つのモットーは、

●学生団体における大気圏突破!

です。当サークルはできてまだ6年目ですが、いつかはこれを達成できる日がくると思います。そのためにも代を継いで、ノウハウを蓄積していかないといけないと思っています。

――ありがとうございました。

はるかな天空を目指してまっしぐらに飛んで行くロケットには大きな魅力があります。「大気圏を突破する!」という大きな目標を目指して「FROM THE EARTH」はこれからも前進していくことでしょう。

⇒東北大学ロケット製作打上サークル『FROM THE EARTH』公式サイト
http://tohokufte.jimdo.com/

写真・画像提供:「FROM THE EARTH」

(高橋モータース@dcp)

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