【冴え女シリーズ(11)】[マスターの不器用な優しさに]第9話(後半)「本当に分かっているのか?」 (2/3ページ)
だから本庄君も、本当に辛いなら会社を辞めるという選択肢だって無いわけじゃない」
蘭 「・・・私ね、自信があるの」
優士「自信? なんのだ?」
蘭 「私が会社を辞めたところで誰の心にも残らないんだろうなって自信。あっちはなんとも思ってないかもしれないのに勝手に傷ついて落ちこんで、逃げて辞めて、誰の心にもなにも残らないなんて惨めだわ。それにフラれたから辞めたんだって、面白おかしく噂されるかもしれないなんて思ったら辛すぎる。だから私、辞めてやらないの・・・」
優士「本庄君は・・・俺より強いな」
蘭 「強くないよ。私、辞めてもすぐに就職先探さないといけないとか、その間の生活どうしようとか、そんな風に考えちゃうの。だったら今のままでいたほうがいいってただの消去法。マスターみたいにお店なんてもてないしね」
優士「・・・もし、本庄君が、どうしても耐えられなくなったら、うちで雇ってやろう」
蘭 「え」
優士「どうしようもなくなったら、うちで働かせてやるって言ってんだ。だから、卑屈になって辛さに耐えて、生活の為に心を殺す必要はない」
蘭 「私・・・コーヒーの知識なんてなんにもないよ? こんなに美味しいツナサンドだって作れない」
優士「いちから教えてやる」
蘭 「それは、いいね・・・だってマスターの秘伝のレシピを教えてもらえるんでしょ?」
優士「働くんだったらな」
蘭 「毎日マスターのツナサンド食べ放題なんて夢のようだわ」
優士「そんなわけないだろう・・・なぁ、だから、音もたてずに泣くのは止めてほしい」
蘭 「え? あれ、あ、ほんとだ・・・私、いつから・・・」
優士「調子が狂うんだ。