1000万人を瞬時に惹きつける「テレビの手法」を応用した技術
『図解 テレビに学ぶ 中学生にもわかるように伝える技術』(天野暢子著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、ニュース番組の内容や文字をチェックする「校閲」の仕事を通じてテレビと関わっているという人物。
ふだんはプレゼンテーションの現場で指導にあたっているそうですが、数年前からその仕事に関わってから、大切なことに気づいたのだといいます。
それはずばり、映像をはじめとして音声、音楽、文字、地図、図解などさまざまな情報が詰め込まれているテレビの可能性。
テレビは、視聴率10%で視聴者が約1,000万人といわれています。
つまり、1,000万もの人たちが一瞬で内容を理解できるように極限まで工夫されているだけに、いわばテレビは「見せる」「聞かせる」「理解させる」ことを研究しつくした、究極のプレゼンテーションだというのです。
だとすれば、テレビで用いられている手法の数々は、ビジネスのさまざまな場面で応用できるということにもなるはず。
そこできょうは、すぐに応用できそうなポイントをひとつご紹介したいと思います。
■大切な3つのキーワード
いうまでもなく、テレビは視聴者が気まぐれに見るメディア。だとすれば当然のことながら、いつチャンネルを変えられるかわからないわけです。
だからこそテレビ制作側は、視聴者が一度スイッチを入れたら、チャンネルを変えさせない工夫を重ねているのだといいます。
そこで必要となるのは、「楽しい」「ためになる」「好きなタレントが出ている」など、視聴者を引きつけるためのフック。
そして、その際の重要なキーワードが「お得感」「意外感」「期待感」の3つなのだそうです。
これについては、思い当たることがあるのではないでしょうか?
たとえば情報番組内で、松阪牛のハンバーグ・ランチで大繁盛しているお店を紹介するとします。
そのとき、映像を番組内で流すにあたって重要な要素は、司会者の言葉とテロップ(字幕)。
具体的には「次は、あの高級肉がたったの1,000円で食べられる店を突撃取材です!」とコメントし、画面上には「銀座に大行列 そのワケは?」と短いテロップを出すわけです。
コーナーがはじまる前の数秒だけで、「高いお肉がたったの1,000円で食べられるらしい」という「お得感」をアピールし、「高級店の多い銀座にそんな激安店が?」という「意外感」も伝え、さらに「それはどんなメニューなんだろう?」という「期待感」も視聴者にインプットするわけです。
別な表現を用いるとすれば、そうやって視聴者を囲い込んでいくということでもあると著者。
■プレゼンにも必要不可欠
そして同じように、プレゼンで最初から相手の心をつかむためにも、この手法を応用することが可能だといいます。
やはり最初から押さえておくべきポイントは、「お得感」「意外感」「期待感」の3点の「つかみ」。
逆にいえば、これらが存在しないプレゼンには、だれも 興味を示してくれないということ。だからこそ、もしもない場合はあとづけでもかまわないので、考えて加えることが大切だというのです。
そしてこの3点の「つかみ」に対し、それぞれ次のような「あおりキーワード」を組み合わせます。
(1)「お得感」のあおりキーワード:激安、無料、行列、完売、殺到、穴場
(2)「意外感」のあおりキーワード:秘密、秘話、マル秘、珍◯◯、涙、潜入
(3)「期待感」のあおりキーワード:話題、仰天、驚きの、豪華、絶品、逸品
つまり、これらを組み合わせて、表したスライドのタイトルで目立つように見せることが大切。
なお、これらをレイアウトやフキダシを利用してキャッチコピーやサブタイトルのように使ってみたり、本編の見出しや図解の表題などに使ってみたりしてもいいといいます。
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このように、紹介されている数々の手法はとてもシンプル。
しかも大きな効果が期待できるだけに、プレゼンの機会が多い人は特に、ぜひとも本書に目を通しておきたいところです。
B5サイズなので大きくて見やすく、イラストなどの図版もふんだんに盛り込まれているので、気軽にページをめくることができます。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※天野暢子(2015)『図解 テレビに学ぶ 中学生にもわかるように伝える技術』ディスカヴァー・トゥエンティワン